防災の日に寄せて 真新しい名刺 1 太田直宏 2021年9月1日 19:36 本日、防災の日。防災の日が9月1日に制定されたのは、1923年に大被害をもたらした『関東大震災』に由来しています。9月1日は、関東大震災が起きた日なのです。関東大震災では地震により10万人あまりの命が奪われたました。そのときに内務省が各地の警察署に下達した内容の中で「混乱に乗じた朝鮮人による凶悪犯罪、暴動などを 画策しているので注意すること」という内容があり、これが行政機関や新聞、民衆を通して広まり、韓国の方々や、そうと間違われた中国人、日本人(聾唖者など)が多数殺傷される事件が発生しました。そのことを憶えて、本日聞いていただきたい歌は、「真新しい名刺」です。YMCAもブランディングを経て、ロゴを刷新し、私も「真新しい名刺」を持っています。この名刺を持って、私たちは何をするのか。常にそのことを自問自答しています。「真新しい名刺」は、ミュージシャン沢知恵さんの素敵な歌《こころ》の訳詩者である彼女の祖父、金素雲さんの随筆を中川五郎さんがうたにしたものです。十代半ばで東京を焼け出された金素雲さんは、関東大震災後の雰囲気の残る中、あえて朝鮮服を着て大阪の市電に乗ったことで、車掌と大揉めに揉めます。終点でひきずり出され、おおぜいに囲まれ、殴りかかられそうになったところを、ひとりの日本人に助けられるという本当にあった話。「悪かったら悪かったとなぜ素直に謝れんのだ。 きみたちは一体、どれほど立派な人間のつもりだ。 海山越えて遠い他国に来た人たちを、 いたわり助けは出来ないまでも、 多勢をたのんで力ずくでカタをつけようという、 それじゃまるで追剥ぎか山賊じゃないか。 そんな了見で、そんな根性で、 きみたちは日本人でございと威張っているのか」 と日本人に語ります。そして、「どうか許してやってくれたまえ、 きょうのことは私が代わってお詫びをする。 これから先、またどんなイヤな思いをするかも知れんが、 それが日本人の全部じゃないんだからね。 腹が立つときはこの私を想い出してくれたまえ」 と言い、金素雲さんに名刺を渡したのです。(金素雲「真新しい名刺」より)沢さんはこの曲に寄せて、「まさかあの随筆をそのままうたってしまうとは。 予告なしで目の前で聞かされた岡山の夜、 びっくりして、気がつくと涙があふれていました。 祖父を助けた牧師の西阪保治さんがいなかったら、 私は生まれていなかったかもしれません。 その西阪さんの息子さんと、 偶然おなじ教会に通うことになり、 西阪さんが社長をつとめた新教出版社から本を出し、 私はいま、息子さんのお連れ合いと文通しています。 不思議な不思議なめぐりあわせです。 つい最近、歴史好きの息子にたずねられました。 「ママ、歴史はなんのために勉強するの?」 知るために。 心で受け留め、いまを生きるために。 未来につなげるために。」と書いておられます。ぜひとも中川五郎さんのうたを聴いていただきたいと思います。とても胸に迫るものを感じます。私たちが携えているこの「新しい名刺」を一体どのように使い、そのことが出会う人々の「よくなる」とどうつながり、いかにポジティブネットを創ることができるのか?コロナ禍の防災の日に共に考えたいと願います。 #ギター #関東大震災 #防災の日 #中川五郎 #関東大震災朝鮮人大虐殺 #沢知恵 1 この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? サポート