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クルツアーゲート デジタルデンチャーのWEBセミナーを受講して


最近、クルーツアジャパンが提供するクルーツアゲートでデジタルデンチャーに関する興味深い講演を聴講する機会がありました。福岡県の辻先生による、デジタルデンチャーの実践的な使用方法と知見についての講演内容を、皆様と共有したいと思います。

デジタルデンチャーの主なメリット

1. 優れた適合性

最も印象的だったのは、患者さんへの適合性の高さです。従来の義歯では、熟練した技工士が作製しても調整が必要な場合が多かったのですが、デジタルデンチャーではそのような調整の頻度が大幅に減少しています。これは患者さんと歯科医師の双方にとって大きなメリットとなっています。

2. 再現性の高さ

試適時と同じ状態で最終的な義歯を作製できる点が特筆すべき利点です。従来の方法では、試適時に良好だった状態が、重合収縮などにより完成時に微妙に変化してしまうことがありました。デジタルデンチャーでは、データに基づいて正確に再現できるため、この問題が解消されています。

3. トライデンチャーの活用

試適用の義歯(トライデンチャー)を患者さんに持ち帰っていただけるのも大きな利点です。従来のワックス試適では難しかったこの工程が、デジタルデータを活用することで可能になりました。

4. コストと時間の効率化

材料費に関しては、インクなどの直接費用で2,500円から3,000円程度と比較的低コストです。(デンカデザインは1床2500円)また、作業時間も従来の方法と比べて短縮できる可能性があります。ただし、デジタル機器の操作に慣れるまでは、一定の時間が必要です。

5. データの永久保存

デジタルデータとして保存できることで、災害時の義歯紛失などの緊急時にも迅速な対応が可能です。また、修理や再製作の際にも元のデータを活用できます。

6. 環境への配慮

従来の方法やミリング加工と比べて、廃棄物が極めて少ないという環境面でのメリットもあります。従来法の石膏やワックスの仕様もありません。

デメリットと課題

1. 高額な設備投資

最大のデメリットは、必要な機器への初期投資額の高さです。

2. 粘膜印象の課題

粘膜の印象採得には依然として技術的な課題がある。

3. 品質管理の重要性

破折や経年劣化に関しては、検証された機器と材料の組み合わせを使用することが重要です。現時点では大きな問題は報告されていませんが、長期的な経過観察は継続して必要です。

価格設定

現在では歯科技工料や患者請求価格は情報が不足しているようです
保険外診療での価格設定として、患者さん価格は12万円から15万円程度(3Dプリンタデンチャー)歯科技工料15000円という情報もあります



今後の展望(筆者の感想)

デジタルデンチャーの普及に伴い、院内技工士の需要が再び高まる可能性があります。また、デジタル技術を活用した新しい働き方として、フリーランスの技工士による遠隔サポートなど、様々な可能性が考えられます。

まとめ

デジタルデンチャーは、高額な初期投資という課題はありますが、患者さんの満足度向上や作業効率の改善など、多くのメリットを提供します。今後の技術発展と経験の蓄積により、さらなる進化が期待される分野といえるでしょう。

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