村岡英明先生 「若手歯科医師のための臨床の技50」総義歯 を読んで ①
私は、義歯の製作には携わってこなかった歯科技工士です。しかし、3Dプリンタの導入を機に、デジタルデンチャーの必要性を日々感じるようになりました。「今さら」かもしれませんが、総義歯の知識を深めたいという思いが強くなってきたのです。
そんな中、村岡先生の存在を知り、その著書を手に入れることができましたので、学んだことをアウトプットしていきたいと思います。
この学びの旅に、皆様もぜひお付き合いください。
「はじめに」
中国の白楽天が長慶和尚という人に「禅の神髄」を問うた。
「悪いことはしない。いいことはやりなさい」
そんな当たり前のことですが、知っていることと実際にやることとは違います。
「3歳の子供でも知っていることでも80歳の大人でもできないことがある」
知ることは楽しい。しかしやることは難しい。慣れぬうちは苦しいが、乗り越えると楽しくなってくる。
総義歯は他のこととは異なり、何年も苦しんできた患者様をその場で回復できることもある。
そのような経験を重ねると、楽しくなるし上達もする。
それは理論を越えた実践の学びである
総義歯には総義歯の形がある
どうして達人が作る義歯はみな同じ形をしているのか?
名人達人でなくても総義歯がわかっていると、こういう形になるのである。
「丸みを帯びていて柔らかいところで終わっている」
「左右対称である」
義歯の外形線(辺縁の形)
1総義歯には外形線がない?
これは床縁をどこまでにするかという線は引かない。
印象を採ったらボクシングをして辺縁がどこまでかを明確にする。
そうしたら印象のままに総義歯を作る。それが辺縁である。
そのためにも印象は丸みを帯びていなければならない。
「粘膜が折り返したところまで辺縁が来ている」
*骨隆起の途中で辺縁が終わっていると、いくら削合しても痛いということになる。
2折り返し地点を観察するには
義歯を入れたまま右の人差し指で辺縁を探ってみる。
上顎結節を抱え込む部分、下顎では舌側、パッドの部分が足りないことが多い。
それらを指で感じられるはずである。
下顎の舌側がよくわからない場合、義歯を外して舌側にそーっと指を入れてみて、
粘膜に触れるところが口腔底である。そこまで辺縁は来ることができる。
3義歯の外形線(辺縁の形)まとめ
辺縁は丸みを帯びている
辺縁は柔らかいところで終わっている
辺縁は折り返し地点まで来ている
*ただし丸みを帯びていないところがある。この部分は外形線を引くところである。
上顎後縁部、下顎パッドの上と舌側