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039 連載小説01 災害ボランティア⑨ 七尾市文化ホールでのオリエンテーション、そして仮仮置き場

030 連載小説01 災害ボランティア① 序|ohshio_t (note.com)
031 連載小説01 災害ボランティア② 災難の伏線、出発の遅れ|ohshio_t (note.com)
032 連載小説01 災害ボランティア③ 勘違い、前泊も七尾市文化ホールではなかった|ohshio_t (note.com)
033 連載小説01 災害ボランティア④ 隘路に踏み込む|ohshio_t (note.com)
034 連載小説01 災害ボランティア⑤ テント村、七尾城山野球場に到着|ohshio_t (note.com)
035 連載小説01 災害ボランティア⑥ テント村で眠りにつく|ohshio_t (note.com)
036 連載小説01 災害ボランティア⑦ テントから撤収|ohshio_t (note.com)
038 連載小説01 災害ボランティア⑧ 七尾市文化ホールに到着|ohshio_t (note.com)

 さっきTが買ったパンはまだ食べてなかった朝食の分。前回と違いもしかしたら昼食のためにここに戻ってこないかもと想定し、Tは同じセブンイレブンでおにぎり三個を買うことにした。
 Tはバスの停留所のベンチで最初に買った三個のパンを食べた後、九時の集合時間の10分ほど前に文化ホールに入った。既にボランティア要員の受付でごった返しているのをTは見た。
 本来はスマホでQRコードを読み込んで手続するのだが、TのiPhoneは壊れたため手書きで受付する。そしてTはジャケットとジャケットに貼る名札ステッカーをもらい、ステッカーに自分の苗字をカタカナで書く。その後にジャケットに腕を通してジャケットに名前を書いたステッカーを貼り、Tは階段を上がって記憶にある会場に入ったのである。
 そこはまだ今月のことだった三月一日、海浜公園からバスで来た、Tにとつて初めての災害ボランティアについて説明を受けた同じ場所。ただし前回は多かったと言ったもパイプ椅子に全員が座っている状況ではなかった。
 しかし今回はテント村プロジェクト、野口健という権威の賜物か、百人は下っていないとTは見て取った。そしてどうやら石川県のボランティアセンターのオリエンテーション、前回Tが受けたそれは終わったらしく、その次にテント村プロジェクトのボランティアのオリエンテーションという進行らしいとTは気づいた。
 前回は社協の人がすぐTのそばに来て一番目の作業に挙手するよう案内してくれた。その振り分けがオリエンテーションが始まって意外にすぐだったため、Tは二番目以降のボランティアの内容を知る術がなかった。
 二回目の今回は前回よりは全体のオリエンテーションの時間は長かったが、震災関連のボランティアにしては特異な作業があるわけではなかった。ただ要員が大人数のため、そしてボランティアする場所が限定されるため、早く終わることもあるという説明をTは聞いた。
 それもTが前回のボランティアで経験したことである。このときTは結局5か所の民家を回ったのだが、本来は四件で終わりだった。それが四件目が既に被災者が自分たちで被災ごみを殆ど出したためにすぐ終わってしまい、五件目のブロック塀のバケツリレーにTも参加することになったのである。
 しかし今回はTは、そうした現場に参加する機会は得られなかった。今回も社協の人が気を利かせてくれ、他のボランティア8名と一緒に仮仮(かりかり)置き場の要員となったのである。
 仮仮置き場、Tも前回のボランティアで初めて知った、七尾市の行政用語らしい。七尾市のゴミ分別は厳しく、仮置き場に出す前に分類しなければならない。しかし被災ごみは収集した現場で分類は出来ないため、仮置き場に行く前に分類する場所が必要となる。その場所の呼称、通称が仮仮置き場であり、Tは前回の民家での作業と比べてより安全な、ボランティアの作業的な後方支援をすることになった。(大塩高志)

040 連載小説01 災害ボランティア⑩ 仮仮置き場へ
042 連載小説01 災害ボランティア⑪(終) 思い出を砕く


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