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たぶん私たち一生最強
あらすじ:
花乃子、百合子、澪、亜希は26歳独身で高校時代からの友人。ひょんなことから4人そろってルームシェアすることに。
アラサー女性ならではの悩みや選択を描いていく。
感想(ネタバレあり):
アラサー女性のリアルな会話を描いており、サラッと読むことができた。
いろいろ悩んでいても友達と飲んでくだらない話をしているうちにどうでもよくなった体験は誰にでもあると思う。その時の話の内容は本当にくだらないもので、翌日になっても思い出せないような中身のないもので、顔痛くなるくらい笑ったし楽しかったなという体験。そして、深い話をしないからこそ、一緒にいる時間が楽しいという絶妙な距離感。そんなメンバーがルームシェアする。この距離感がルームシェアする中でもちょうどよかったというのがまたリアル。実際、女友達と飲みながら「女同士で生活した方が絶対いいよ!」という話をしたことがある人は少なくないだろう。
澪の姪が、快活な女友達4人の生活を見て、前向きになる話はよかった。また、コロナ禍の生活が細かく描かれていたのもよかった。
納得がいかなかったのが、亜希が妊娠し、4人で母親をしよう、そのために月2万円支払ってほしい、という提案をしてきたところ。本作は出産をするところから始まるので、誰かが出産するのはわかっていたのだが、率直に、身勝手で図々しい提案だと感じてしまった。
恋愛と結婚をせずに子供が欲しいと思うところまでは百歩譲って理解するとして、妊娠が判明してから同居人に相談するのは、もう後戻りできない段階なので、狡猾だと感じてしまった。
ルームシェアの大前提はお互いに迷惑をかけないで生活する、つまり金銭の依存はしないことで対等な関係を維持することだと理解していたので、「3人には迷惑がかからないようにするので、子供を産んでもよいか?」という話になるかと思っていた。
3人側から「資金を提供するので、4人で母親になろう」という提案をしてもらうのであればまだ理解できたかもしれない。しかし、母親業というものは、月額2万円のサブスクのように都合よくできるものではない。上記の提案をしたのはずるい手を使ってでも母親になりたい、という亜希の意志の強さなのかもしれないが、どうしても共感することができなかった。
また、26歳は結婚・出産の可能性を除外するにはまだ早すぎる。結婚して出産するというスタンダードな人生ももちろん悪くないのである。新しい家族の形を人生の早い段階で決断するのも悪くないのかもしれないが、勢いだけで大切な決断をしているように感じてしまって軽率だと感じてしまった。共感できない自分は考え方の古い人間なのかもしれない。ライフステージの選択を、形にとらわれずにできるから4人そろえば彼女たちは最強!と言いたかったのかもしれないが、全てをその場のノリで選択しているように思えて、不快であった。