期限付きの恋

コンビニですごく美味しい野菜ジュースを見つけた。その名も「1日分の野菜濃厚トマトMIX」。伊藤園が期間限定で出している商品で、トマトがベースだが他の野菜の風味もしっかり感じられて全体のバランスがとてもよく、飲み口もサラッとしていてゴクゴク飲める。まさに僕の「こんな野菜ジュースが飲みたい」をそのまま具現化したような商品なのだ。

こんなに自分好みの野菜ジュースが出るなんて奇跡である。美味しい。とにかく美味しい。伊藤園が何らかの方法で僕の個人情報を抜き取っているのではないか、という疑惑が浮かぶくらい美味しい。そしてもしそうだったとしても全然いいですよ！と思えるくらい美味しい。ははは！こんな情報でよかったらどんどん抜き取っちゃってください！ははは！もしなんかわからないことあったら聞いてくださいね！パスワードとか！はははははは！

法には触れるのかもしれないがそんなことは関係ない。味でモラルをねじ伏せる。それが伊藤園のやり方なのだ（フィクションです）。

あまりに美味しすぎてコンビニで見かけるたびに買っているが、残念なのが期間限定商品であるということである。期間限定ということは、いずれ売り場から姿を消してしまう運命にあるということ。まれに人気が出て定番商品に格上げされるパターンはあるのだが、それは稀なケースである。広瀬すずからスカウトされて芸能界入りするくらいの非常に稀なケースだ。期間限定商品とは、基本的に去り行く定めなのだ。

「1日分の野菜濃厚トマトMIX」に対する僕の思いは、夏の間だけに許された期限付きの恋なのである。