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味に迷う人

コンビニで、50代くらいのそれなりの役職に就いていそうなサラリーマンが、カロリーメイトの味を選ぶのにけっこうな時間迷っていた。彼は迷った末にフルーツ味を手に取り、それに決めるのかと思ったら、土壇場でそれを棚に戻し、チーズ味を持ってレジに向かって行った。

カロリーメイトの味で迷うのはものすごくわかるが、それなりの役職に就いている人でもそうなのかと嬉しくなった。いわゆる「仕事ができる人間」がカロリーメイトを買う場合、「とにかく効率的に食事を済ませたい」というのが目的であることが多いと思う。その頓着しない感じが仕事ができるってことだと思っていたが、味を楽しむことを忘れていない人間の方が絶対的に豊かであると思う。自分が会社勤めをするなら、カロリーメイトの味で迷うタイプの上司の下につきたい。

ただ、それなりの役職に就いているというのはあくまで僕が見た目で勝手に判断しただけなので、実際どうなのかはわからない。持ち前の優柔不断が災いして出世コースから外れている人の可能性も大いにある。もしそうだとしたら、カロリーメイトの味で迷っている様子がより愛おしくなるが、その下で働きたいかというと微妙なところだ。

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