18万円は戻らない

先日、Wi-Fiの契約を確認したところ、余計なお金を月5000円払っていることがわかった。全然必要ないオプションをいくつもつけられていたのだ。どういうオプションだったのかも全く覚えていない。「通常よりも心を込めて電波を飛ばします」くらい必要ないものだったと思う。

そういえば契約の際先方は「一旦オプション付けていただくんですけど、すぐ外してもらっていいんで」みたいなことを言っていた。そのまま決して通信速度が速いというわけでもないWi-Fiを丸3年使っていたのである。余分に払わされたお金は合計で18万円。これには喋る白い犬もビックリだ。

一応オプションはオプションだし、何の説明もなかったわけではないので結局僕の落ち度になるのだろうが、納得がいかない。こちらの無知に付け込んでくるなんて、やり方が汚いではないか。武士の風上にも置けない。武士じゃないけど。どうせそうやって高齢者とかからも余分な料金をせしめているのだろう。悔しい。別に何のバネにもならない無駄な悔しさだ。

謎のオプションに払わされた18万円。己の無知と不注意によって闇に消えた18万円。もう触れることさえ叶わない18万円。いつもと変わらない毎日の中に、18万円だけがいない。ああ、今18万円をきつく抱きしめることができたなら。

もしもこの18万円があったら、何が買えただろう。何ができただろう。気づけば18万円に想いを馳せている。そんなことを考えても18万円は戻ってこないのに。そんなことはわかりきっているはずなのに。

僕の心にはぽっかりと穴が空いている。18万円分の穴が。その穴の中を、決して通信速度が速いわけでもないWi-Fiの電波が通り抜けていく。