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銀色のヒーローがいぶし銀に!『シン・ウルトラマン』の感想

昨日『シン・ウルトラマン』を観に行ってきた。

以前から気になっていた作品だったが、時間ができてやっと映画館に行くことができた。

今回はそんな『シン・ウルトラマン』の感想を語りたいと思う。
観に行こうか迷っている方は、ぜひ参考にしてほしい。

1.ウルトラマンは突然に……

突然だが、僕は小さい頃ウルトラマンが大好きだった

歯医者での治療を我慢したり、お留守番を我慢したりすると、ご褒美に母親がレンタルビデオショップに連れて行き、好きな作品を一つだけレンタルさせてくれた。
そのたび僕は、ウルトラマンシリーズの作品をレンタルした。
ちなみに一番好きなシリーズはウルトラマンパワードだ。

家にソフビ人形はもちろん、大きさ30センチくらいの声の出る人形も持っていたくらいだ。
バルタン星人の「フォッフォッフォッフォッフォ」という声に、音声ボタンを押すたびにビクついてた記憶がある。

小学校に入る頃にはだんだんと自分の中で存在感が薄れていき、中学校に入る頃には、それこそバルタン星人のモノマネをするくらいしか接点のないシリーズになっていた。

大人になってからはほぼ触れる機会はなかった。
学生時代、特撮好きの先輩がウルトラマンや仮面ライダーを現役で追っていたのを横目で見る程度である。

そんな僕が『シン・ウルトラマン』上映のニュースを知ったのは、上映が始まってからである。

僕は庵野秀明監督の『シン・エヴァンゲリオン』、樋口真嗣監督の『シン・ゴジラ』と、『シン』シリーズは一通り観てきた。

なので、『シン』シリーズとしてウルトラマンが上映されることに興味はあったのだ。
しかし、一点懸念材料もあった。

庵野と樋口だしなぁ……
である。

「エヴァ」に関しては、エヴァ臭がするのは全然どころか、それが個性だから良いと思っている。

しかし『シン・ゴジラ』を観た時の僕の感想としては、
おもしろいけど、これエヴァじゃん
だった。

エヴァっぽさとは具体的に言うと
無能な上司や役人などの管理層
✓ドロドロした人間関係
✓突如スクリーンに映る漢字多めの白抜き文字
グロテスクな敵キャラのデザイン
✓要所要所でかかるクラシック調のBGM
✓全体的に雰囲気が暗い
である。

僕は『シン・ウルトラマン』に、興味とともに恐怖を抱いていた。
僕が小さい頃憧れていたウルトラマン像を、庵野秀明総監修・樋口真嗣監督の作風で、壊されてしまうのが怖かったのだ。

そんな僕がなぜ今回映画を観に行くまで思い立ったかと言うと、理由がある。

自宅に敵性生命体「」が出始めたのだ。

一週間ほど前からチラホラ出始め、水曜日にはキッチンで大きめの個体に遭遇してしまった。

そこで僕はアースレッド噴霧による「G」殲滅作戦を実行したのだ。

在宅ワークが終わった金曜夜、僕は一時間ほどかけて自宅の機械製品や布製品などをビニール袋で覆った。
そして
「これでお前らもおしまいだ」
と言いながら、アースレッドを起動したのだ。

自宅を後にし、初夏の生ぬるい空気に触れて僕は途方に暮れる。
「さあ、これから何しようか」

アースレッドを起動すると、最低2時間、できれば5~6時間は部屋をしめきる必要がある。
その時、僕の脳裏に一つのアイデアが浮かんだ。
「あ、『シン・ウルトラマン』観に行こう」
以上である。

2.『シン・ウルトラマン』の感想

結果から言うと非常におもしろかった
期待以上、と言ってもさしつかえない。

具体的にどこが良かったかというと
・特撮とCGが融合した迫力がある。
(時折「人形っぽく」見える演出をしているのも、
 どこかレトロさが出てて良い)
人間ドラマがほどほどなので情緒をぐちゃぐちゃにされない。
 →バトルシーンに集中できる。
・禍威獣(かいじゅう)や外星人のキャラデザがカッコいい
 グロくない。
外星人がミョーに人間くさいのが憎めない
・主演の斎藤工をはじめ、キャスト陣の演技がうまい
である。

1.で懸念していた「エヴァポイント」も、ほどほどと言うか、オリジナルシリーズの雰囲気を損なわない程度のさじ加減だった。
これが逆に「オリジナルが子ども向けだった」ために感じる「子どもっぽさ」を、いい意味で「大人っぽく」仕上げていた。

ネタバレになるのであまりシナリオには触れないが、最後まで見終わるとそれなりに考えされる内容だった。

「わざわざ外星人のウルトラマンが命を懸けてまで我々人類を守る必要があるのか」
もう少し僕らはおてんとさまに顔向けできる生活をした方がいいのかもしれない。

主題歌もすばらしかった。
米津玄師はスキな歌手ではあるが、「ウルトラマンの曲書けんのか」という不安もあった。
だがそこは天才、バッチリハマった曲を書き上げてくれた。

全体的にスローなテンポでいて、重々しさを感じさせないので、ウルトラマンのしたたかな強さを感じる

よし、『シン・ウルトラマン』観に行こう!

となれば幸いである。

僕はもともと、友人と2人で観に行く予定だったが、スケジュールを延ばし延ばしにされ、「G」の来週によりなし崩し的にソロで観に行くことになった。

しかし、結果的にソロで良かったと思っている。
誰かと語り合うタイプの映画ではない」からだ。

たとえば、僕は『アベンジャーズ』をはじめマーベルヒーローズの映画が大好きだ。
映画を観終われば、ツレと感想を言い合いたい気持ちにもなる。

しかし『シン・ウルトラマン』は、あまりにも僕の心に残すものが多かった。
映像美、音響、メッセージ性の強さもあるが、既存のウルトラマンのイメージを一新されたことによる衝撃で、割と放心状態になってしまった。

もちろん、誰かと観に行ってもおもしろいだろうが、
「一緒に観に行く相手いないしなぁ」という人は、
むしろ一人上等くらいの気持ちて行くことをオススメする。
実際一人客も多かった。

僕は上映開始後、ドリンクに一口も口をつけないうちに観終わってしまった。
2時間身動きがとれなくなる魔法をかけてくれるような映画だ。
そのうち金曜ロードショーや動画配信サービスで観れるようになるとは思うが、悪いことは言わないので劇場に足を運んだ方が良い

放心状態で帰路につき、自宅のドアを開けると、薬品臭とともに一面のビニール袋が僕を待ち構えていた。
戦いは、終わらない。


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