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大阪・関西万博への見方が少し肯定的になった話@日本万国博覧会記念公園シンポジウム2024「協働・共創の万博をめざして」 <前編>


◉はじめに

「2025年 大阪・関西万博」、みなさんはどのような見方をされていますか。

私は次のような理由から、これまで良い印象を持っていませんでした。

【ポリシーに関して】
・カジノを含むリゾート施設の開発と一体であると見える(地下鉄延伸などはIRリゾートの前提である。)。
・建設費が予定より大きく膨らんで将来的に国や自治体の負担になりそうである。
・大阪府が税金20億円を使い府内在住の4歳から高校生までの子どもを無料で招待するとした(招待というと聞こえがいいが、協力企業同様に前売り券を大量に買い取ったということである。)。
・税金を投入したイベントによる経済活性化が目的であると見える。

【オペレーション・安全確保に関して】
・アクセスとなる交通インフラが脆弱である。
・ゴミの最終処分地であった人工島であるためにメタンガスが発生している。
・学齢期の子どもについては学校単位で利用することが前提となっていて教員が引率していく形である(混雑する中で安全を確保するのは難しい。子ども側からすると興味のある展示に好きなだけの時間をかけられない。)。

しかしながら、このシンポジウムに参加し、私の見方は少し肯定的になりました。

これまでどのように万博が時代状況を反映してきたかを分析する「万博学」研究者の話からこの時代にあるべき万博の姿が見え、また、民族をはじめとする多様性や社会課題についての多様な立場の対話と交流の契機にしようとされている方の思いを知ったからです。

話題作りも必要なのでしょうが、火星の石やAdoさんのライブを使った魅力向上などとは全く方向性が違います。

さすが民族学を応援する千里文化財団の企画だ、と思いました。


◉ これまでの日本万国博覧会記念公園シンポジウム

今回のシンポジウムの案内ページ↓にあるように、これまでに3回、2025年万博に向けてのシンポジウムが開かれています。
これまでの積み重ねがあっての今回の内容となっているようです。


🔸2021「人類・いのち・万博-1970から2025に向けて」

🔹2022「人類よ、どこへ行く?ポストコロナの世界を占う Quo vadis. homini?」

🔸2023「『日本人』の内と外-異文化接触を語り合う」【記録動画あり】


◉プログラムと登壇者

主催者挨拶
:中牧弘允 千里文化財団理事長
シンポジウム開催にあたって「協働・共創の万博をめざして」
:吉田憲司 国立民族学博物館長
事例1) 万博テーマ事業<いのちを高める>(クラゲ館)における共創・協奏の旅路と背後の哲学
:中島さち子 大阪・関西万博テーマ事業プロデューサー
   (シグネチャーパビリオン「いのちの遊び場 クラゲ館」)
事例2)「いのち」を大切にする社会を目指して―「いのち会議」と「いのち宣言」
:堂目卓生 大阪大学 社会ソリューションイニシアティブ長
事例3)万博学という視座
:佐野真由子 京都大学大学院教授
パネルディスカッション
:パネリスト 中島さち子、堂目卓生、佐野真由子
:ファシリテーター 吉田憲司


ここまでを「前編」とさせていただきます。
事例報告とパネルディスカッションの内容については「後編」をお待ちください!

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