見出し画像

hike= (急激な)値上げ | 教科書に出てこないニュース英語 《カナダの郵便料金》

カナダの公共放送、CBC のウェブサイトで、2024年9月6日に配信された記事の見出しで使われていました。

Canada Post proposes 25-cent price hike on stamps
New rates would generate about $80 million in additional revenue
カナダ郵便が切手価格の25セント引き上げを提案
新しい料金により約8000万ドルの収入増見込み

CBC
https://www.cbc.ca/news/politics/canada-post-stamp-price-increase-1.7316229


◾️'hike'を辞書で引くと

小学館 プログレッシブ英和中辞典(goo辞書)の記載は…

hike [háik] 大学入試レベル
━━[動]
1自(特に郊外を)ハイキングする;他((米))〈場所を〉ハイキングする(◆長距離を歩くことが中心;picnic は屋外での弁当が中心)
2自〈衣服などが〉ずり上がる;他〈衣服などを〉ぐっと引き上げる
2a他((米))〈値段などを〉(抜き打ち的に)大幅に引き上げる(up)
3他《フットボール》〈ボールを〉スナップする
━━[名]C
1 徒歩旅行,ハイキング
1a ((略式))長距離
2 ((主に米略式))(物価・給料などの)抜き打ち的な大幅引き上げ≪in≫
3 《フットボール》スナップ
hikeの慣用句・イディオム
Take a hike.
((米略式))あっちへ行け
語源
[原義は「足をひきずる」→「旅行する」]

https://dictionary.goo.ne.jp/word/en/hike/#ej-40502

この文脈(切手と収入増)では、
名詞の2番目、「(物価・給料などの)抜き打ち的な大幅引き上げ」
の意味で使われているのは明白です。

しかし、ハイキングと値上げがどうつながるのでしょう?

いつものように語源辞典で深掘りしてみましょう。

1809年、起源不明の英方言語である「hyke」は、「元気に歩く」という意味である。1736年の「yike」は同じ意味である。しかし、20世紀初頭まで一般的には広く使われていなかった。

「(ズボンを)引き上げる」という意味は、アメリカ英語で初めて1873年に記録され、hitch の変種である可能性がある。そして、「昇給する」という拡張された意味は1867年である。

https://www.etymonline.com/jp/word/hike#etymonline_v_12005

hitch (n.)
1660年代には「足を引きずることやよろめき」、1670年代には「突然の動き」という意味で、hitch(動詞)から派生しました。1769年には、航海用語として「ロープを固定する手段」という意味が生まれました。1748年には「(通常予期せぬ)障害」という意味が初めて記録され、軍事用語の「徴兵」は1835年に生まれました。

https://www.etymonline.com/jp/word/hitch#etymonline_v_12043

「ハイキング」と「ズボンや値段を引き上げること」の2つの意味は、源流が別のようです。前者はhyke、後者はhitchの変種(?)が祖先であり、親戚ではないということでした。そういう場合、見出しをhike1とhike2のように分けることが多いと思うのですが、一緒になっています。

↑ New Oxford American Dictionaryでも同じ見出しの中に異なる意味が収められていました。

◾️カナダの郵便切手が約25%値上げされる理由とは

記事本文の概要は…

カナダ郵便は来年の定型郵便の料金引き上げを現在提案しており、ほとんどの切手の価格が25セント上昇して1.24ドルになる見込みだ。

カナダ郵便は、過去10年間にわたりレターメールの料金引き上げを最小限に抑えてきたと述べている。今回の引き上げによりサービス提供のコスト上昇に見合うように切手価格を調整する助けになるとしている。切手価格の最後の引き上げは2023年で、その際に切手のコストが7セント上昇した。

カナダ郵便は昨年748百万ドルの損失を出し、「深刻な」財政状況を警告している。カナダ郵便によると、レターメールの量は過去20年間で60%減少しており、一方でサービスを提供する住所の数は増加している。

プレスリリースによると、2006年にはカナダの家庭が平均で週に7通の手紙を受け取っていたのに対し、現在では週に平均2通しか受け取っていない。

8月には、カナダ郵便の理事会の会長が、レターの量の減少と小包配達の競争激化により財政状況が持続不可能であると述べていた。

カナダ郵便は、新しい料金が承認されれば、2025年1月13日から実施されるとしている。この新しい料金により、2025年には約8000万ドルの追加収入が見込まれている。

https://dictionary.goo.ne.jp/word/en/hike/#ej-40502

日本でも、今年(2024年)10月から、定型郵便の料金が25g以下84円・50g以下94円から双方とも110円に値上げされる見込みです。

次の記事によれば、日本も同様に、2022年度の営業損益が民営後初の赤字郵便物数の大幅減少(ピークの01年度:262億通→22年度:45%減の144億通)に対応し、「25年度の黒字を達成できる最小限の上げ幅にした」と説明しているそうだ。


公衆電話や番号案内サービスの縮小・廃止と同様に、電子メール等の通信手段の進化に伴う「時代の流れ」で、同然のことかと思います。

郵便料金の値上げにより、これまで紙ベースで行われていた連絡の見直しが加速されるのでしょう。


ここから余談です。
今回カナダの郵便料金を確認していて発見したのですが、カナダの切手にはPERMANENT stampsというものがあって、券面に金額が印刷されておらず、料金が将来上がっても利用可能だそうです。

https://www.canadapost-postescanada.ca/cpc/en/personal/stamp-prices.pageより

また、通常の切手を1枚買うよりも、シートでまとめて買うと割引になるようです。

同上


booklet単位の販売例


50枚coil単位の販売。
日本の縦横につながっているものより使いやすそう。


'P'はPERMANENT(永久利用可能)の印。
駆け込み購入がありそう。値上げがあっても使えるので便利。



































































この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?