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mumfluencer=ママインフルエンサー | 教科書に出てこないニュース英語 《ニュージーランド・子どもへの影響》

mom+influencer でmumfluencer。
momfluencerと綴る場合もあるようです。

ニュージーランドの公共放送 RNZのウェブサイトで2024年11月21日に配信された記事の見出しで使われていました。

What happens to mumfluencers when their kids grow up?
子どもが成長したら、ママインフルエンサーはどうなるのか?

話としては主に子どものプライバシー保護の問題です。

まず、この単語'mumfluencer'から見てみましょう。


◾️まだ一般的な辞書には載っていませんでしたが…

意味はそのまま、お母さんインフルエンサーだとわかります。
英和辞書はもちろん、オンラインの英英辞書にも掲載されていませんでしたが、WiktionaryやWikipedia、それにCollinsの新語提案のページには出ていました。

https://www.collinsdictionary.com/jp/submission/21916/mumfluencer

Wiktionaryによる定義は…

ソーシャルメディアで活動する母親で、主にこのプラットフォームを利用して消費者向け商品の宣伝、育児アドバイスの提供、または子どもの成長過程を記録することを特徴としている。

原文は英語

そして、Wikipediaは背景を含めて説明しています。

「ママインフルエンサー」または「ママフルエンサー」とは、主にInstagramなどのSNSを通じて母親としての初期の瞬間を共有する母親を指します。それに対して、「ダッドフルエンサー」という用語は父親を指しますがあまり一般的ではありません。

この言葉には、新米の母親が子どもの写真を大量に撮り、それをSNSに投稿する必要性を感じるといった、ストレスや義務感に関連するニュアンスが含まれる場合があります。

一部のママフルエンサーは、新しい母親という立場を活かしつつSNSを収入源として活用していると主張しています。一方で、「インフルエンサー業界では実際には誰も本当に稼いでいない」という意見も存在します。

同上

「子どもの写真をアップしないと」という義務感や、収入として活用している/していない?という議論があるようです。

ちなみにアクセントは、influencerと同じく、語頭(のu)に置かれます。


◾️子どもの権利・安全・悪影響

記事の内容を見てみましょう。

◎育児の様子の共有をやめた例

ニュージーランドで最も人気のある「ママフルエンサー」の一人で約50万人のフォロワーを抱えるマリア・フォイ(Maria Foy)の経験が話の中心です。

彼女は「ハッピーマム・ハッピーチャイルド」というオンラインブランドを10年前に始め、ブランドとの提携で数千ドルを稼ぐこともあり、無料の商品もたくさん手に入れたそうです。

しかし、今年の6月になって次の投稿をしました。

「よく考えた末、約10年前に始めたこの活動を転換する時が来たと感じています。子どもたちも成長し、幼い頃のようにSNSに姿を見せたくないと言っています。」

「投稿する前にいつも子どもたちに確認していました。以前は『いいよ』という返事がほとんどでした」とフォイは言います。「でも、今ではほとんど『嫌だ』と言われます。」

現在彼女は、方針を転換し、Instagramアカウントを自身の名前にリブランドし、新しいウェブサイトも立ち上げました。メンタルヘルスの旅や更年期前症状(ペリメノポーズ:perimenopause)といった、フォロワーが共感できる新しい体験についてオープンに語っているそうです。

もう一人のママインフルエンサー、メリッサ・ジャック(Melissa Jack)の例では、子どものプライバシー以外の問題も紹介されます。

SNSへ育児の様子を投稿することによって、家庭にいながら収入を得ることが可能になるわけですが、収入を伴う「仕事」になると、「いい絵」を撮るため無理をしたり広告主の求める締め切りに追われたりすることにもなったそうです。

この人も今はフルタイムのパーソナルトレーナーとして働いており、Instagramの投稿はジムやマウンテンバイクを中心としたものがほとんどで、時折スポンサー付きの投稿がある程度とのこと。

◎子どもへの被害・悪影響

また、親の「営業」によって被害にあったアメリカ人女性、キャム・バレット(Cam Barrett)の例も紹介されます。

彼女の母親はスポンサーを引きつけるために、娘の起こした癇癪、病気の診断、さらには初めて生理を迎えた時のことまでをFacebookに投稿し、キャムは恥ずかしい思いをしただけではなく、ストーカーの被害にもあったとのことでした。

この女性は、現在ソーシャルメディアに関する運動家として活動していて、SNSを通じて得た収入の一部を子どもに分配することを義務付ける法律改正をアメリカの約12の州で推進しています。また、親が投稿した自分の画像を後に削除できる権利も子どもたちに与えるべきだと主張しています。

さらに、子どもが受けるかも知れない心理的な影響についての、オンライン安全団体、ネットセイフ(Netsafe)の責任者の一人リアン・ロス(Leanne Ross)からの懸念も紹介されています。

「もしその共有が商業的な目的を伴っていたら、子どもたちの感情は複雑になるでしょう。『自分はお金を稼ぐために利用されたのか?』『ディズニーランドの旅行は本物だったのか?』『あの写真は本当に幼少期の記憶なのか、それとも作られたものなのか?』そういったことを考える子どもたちにとって、心理的にも感情的にもとても難しい問題だと思います。」


Facebookが始まったのは2004年2月、Twitter(現:X)は2006年3月、Instagramは2010年10月、このnoteは2014年4月、TikTokは2017年。

日本でのiPhoneの発売が2007年、Android端末が2009年ですから、個人が身の回りのことや考えを広く簡単に発信できるようになって、長く見ても15年ほどのことですね。今ではごく当たり前のことになっていますが。

企業とのタイアップを行うインフルエンサーでなくとも、これから親になる人は、自分の子どもについての投稿には気をつけないといけないなぁと思いました。

小さい時の「かわいい」様子であっても、本人は大きくなって嫌だなと思うことが十分あり得るでしょうし、幸せ感を「盛って」しまった投稿には実際の生活とのずれに嘘くささを感じるかも知れません。

おじいちゃん、おばあちゃんになる我々の年代も、孫のことを投稿する際には気をつけないといけません。

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オオニシ チヒロ
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