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映画『ドクちゃんーフジとサクラにつなぐ愛ー』上映会&グエン・ドクさん講演会に参加してきました。

「ベトちゃん・ドクちゃん」ー50代なかば以上の方であればご存知の方が多いと思います。

二人の子どもを持つお父さんになっているドクさんの現在を描くドキュメンタリー映画が製作され、今年(2024年)の5月から全国で公開されていました。そして、現在は自主上映会が開かれています。

その一つが自宅から近い大阪大学の箕面キャンパスで開かれることを知り、参加しました。箕面市国際交流協会のHPを見ているときに見つけました。


◾️枯葉剤とその人体への影響

ベトちゃん・ドクちゃんは、ベトナム戦争でアメリカ軍が散布した枯葉剤の影響で結合双生児として生まれ、その後分離手術を受けた人です。日本の病院がその手術に協力した関係で当時日本でよく報道されていたことを私も覚えています。

枯葉剤は、ベトナム戦争においてアメリカ軍が大量に散布した薬剤です。敵である解放戦線の隠れ家であるジャングルを絶滅させ、解放区で作られる農作物を汚染し、食糧を奪うためだったといいます。

また、「現在も2世、3世への枯れ葉剤の影響が指摘され、ベトナム全土で8,000万人超の人口の中の100万人以上の人びとが枯れ葉剤による外形的障害、遺伝疾患やがんなどの後遺障害に苦しんでいるといわれている。また、ベトナム戦争終結後に生まれた子どもたち15万人以上に重篤な疾患をもたらしている。」と書かれています。


◾️この映画では

結婚して夫となり、14歳のふたりの子どもフジとサクラの父親となったドクさんの日常が描かれます。

その生活は一般的な目で見れば「祝福された幸せな生活」ではありません。

一緒に住んでいる妻の母親は結婚に反対だったと不機嫌に見える顔で話すし、赤ん坊の姿を見て気絶しその後の育児に関わらなかった(関われなかった?)自分の母親や出産後に姿を消した父親とはいまだにぎこちない関係のまま。

片足と松葉づえでバイクで子どもを学校に送り迎えをしたりサッカーをしたりと元気に見えるものの、体に入れられている管は、手入れや交換が必要で痛みも激しい。

また、病院の事務の仕事をしてはいるが、子どもの学費を心配する本人曰く「ぎりぎり」の経済状況。

一方で、子どもたちは無邪気で素直、奥さんは子どもたちとドクさんを明るく自然体で支えているようでした。上映後の質疑応答の中でドクさんは、自分が前向きでいられたのは自分自身と子どもたちのためだと話していました。

ドクさんのもう一つの顔、社会活動家としての場面もありました。

生まれ故郷の地域の枯葉剤被害を担当する役所では、(訪問した彼を4階にある会議室まで階段を登らせるのですが、)被害者への救済措置や汚染された土壌の改良についてただします。(残念ながら担当者からは不誠実な回答が返ってくるのですが。)

また、日本との関係では、大学で平和に関する講義を担当したり、大阪の河内長野市にある中学校で講演をしたり軽スポーツで交流をしたりされていることがわかりました。


◾️ふりかえって

実の両親から精神的な支えさえ得られず、また、双子の兄であるベトさんが分離手術後に突然の発熱でなくなって「孤独」になったものの、前を向いて職に就き、奥さんとなる人にアプローチし、子どもを精神的にも育てて家庭を築き、さらに自分の使命は平和な世の中を実現することだと定め仲間を作って活動する姿が描かれていました。

ロシアによるウクライナへの侵攻が行われている今こそ自分が生きる姿を映画にして広く知ってもらうべきだと日本の友人から話があって撮影を決めたとのことでした。

ドクさんの苦労の原因は戦争で、もちろん戦争の理不尽さを示すものではあるのですが、人として前向きに生きることができているかとも問われる内容でした。

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オオニシ チヒロ
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