高校の探究学習に企業がコミットする意義 《前編》
高校教員時代の最後の10年間、探究学習に関してさまざまな企業の方にいろいろな形でご協力いただきました。
最近、元同僚の教員からメールをもらいました。そのメールの中で、企業側にとっての学生の探究活動に協力する意味に関する話題があり、これをきっかけに自分の考えを整理してみました。
「こんな意義を感じていただけていただけていたらありがたいなぁ」「そういう関係になれたらいいなぁ」という私の希望・期待を書いたものです。企業側にいらっしゃる方からご批判、ご指摘をいただければと考えています。
◾️そもそも高校での探究学習とは
この授業の正式な名称は、「総合的な探究の時間」といいます。
現行の学習指導要領(2023年度入学生から適用)で導入され、必修科目として全ての高校で2019年度から先行実施されています。
1つ前の学習指導要領では、名称が少し違う「総合的な学習の時間」というものがありました。小中はこのままなのですが、高校だけ変更になりました。
小中との活動の違いが次のように説明されています。
そしてこのように名称を変更して特質を持たせた背景を3つ挙げています。
最後に、
ご存知の方もおられると思いますがこの新しいカリキュラムでは、「古典探究」・「地理探究」・「日本史探究」「世界史探究」・「理数探究基礎」・「理数探究」の科目が新設されました。
これらと「総合的な探究の時間」で行われる探究の違いの説明は次のようにされています。
以上の目的・内容を踏まえて、各学校は,「各学校の総合的な探究の時間の目標や内容を適切に定めて,創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開する」(同p.21)ことを求められているのです。
ざっくり言えば、結構大変です。(面白さもやりがいもあり、ワクワクもするのですが…)
もう少していねいに言うと、
扱う内容が実社会や実生活における複雑な文脈の中に存在する問題であるために、学校外の社会問題の関係者との繋がりが欠かせません。
また、研究の仕方を学ばせる必要もあり、従来であれば大学が担っていた教育の一部を行うことになっています。
これらは、たいていの教員にとって、受けたこともなく、やったこともないタイプの授業です。(人権教育や地域課題、環境問題、ボランティア活動等に取り組んでいた場合は、多少共通点があるように思いますが…)
そこで、
学校側としては、企業・NGO・行政機関といった現場の方々、また、大学の先生・大学院生の方々に協力をお願いしてきたのでした。
◾️企業側にとっての意義はあるのか。あるとすればどんなことか。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
長くなってしまいましたので、協力していただく企業側にとってどんな意義があり得るのか、については次の記事に分けて書かせていただきました。
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