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arson= 放火(罪) | 教科書に出てこないニュース英語 《ブラジル・環境》

ブラジルの国営公共ニュースメディアAgênciaBrasilのウェブサイトで、2024年9月17日に配信された記事の見出しで使われていました。

Environment minister advocates stiffer penalties for arson
Minister Marina Silva says 2–4 years in prison is a light sentence
環境大臣が放火に対するより厳しい罰則の導入を提唱
- マリーナ・シルバ大臣は、2~4年の懲役は軽い刑罰だと述べる

https://agenciabrasil.ebc.com.br/en/geral/noticia/2024-09/environment-minister-advocates-stiffer-penalties-arson

◾️'arson'を辞書で引くと

arson [άːrsn]  社会人必須レベル
[名]U《法律》放火(罪)
派生語
arsonist 名 放火犯
arsonous

goo辞書 小学館 プログレッシブ英和中辞典

シンプルで意味の広がりはありません。
社会人必須レベルとのことです。確かに教科書では出会いませんでした。

いつものように語源辞典も見てみましょう。

・「故意に建物を焼く行為」。1670年代からの単語で、Anglo-French のarsoun(13世紀後半)、古フランス語のarsion、後期ラテン語のarsionem(名詞形 arsio)「焼くこと」から来ています。ardere「燃やす」の過去分詞に由来する名詞です。
・古英語ではbærnetで、これは文字通り「燃やすこと」の意味。
・Coke(1640年)はindictment of burning(燃やしたことに対する告発)と記述しています。

https://www.etymonline.com/search?q=arson

簡単にまとめると、
・英語としては17世紀から
・ラテン語→フランス語→英語の順で生成
…ということでした。が、あまり記憶に役立つ情報はありませんでした。

一方、「放火」を和英辞典で引くと、次のような説明があり、勉強になる感じがします。

ほうか【放火】arson; an incendiary fire
放火する set fire to ((a house));set ((a house)) on fire
 彼は放火の罪に問われた He was accused of arson.
放火狂 pyromania;〔人〕a pyromaniac
放火罪 arson
放火者[犯人]an arsonist;《文》 an incendiary;《口》 a firebug
放火魔a habitual arsonist

goo辞書  小学館 プログレッシブ和英中辞典

放火狂pyromaniaのpyro-を調べてみると…

pyro- [páirou-, pairə- | páiərou-] [連結]火,熱,火成の

同上

そして、pyro-から始まる単語は、調べてみるとたくさんありました。

pyrochemical [形]高温度化学変化を起こす
pyroclastic [形]《地学》火砕岩の pyroclastic blasts [flows]火砕流
pyrogen [名]《医学》ピロゲン,発熱原
pyrogenic [形] 発熱性の;〈岩石などが〉火成の
pyrolysis [名]《化学》熱分解
pyrophoric [形]自然発火性の
pyrotechnics [名]〔単複両扱い〕1花火製造術;花火の打ち上げ 1a発煙筒,発光弾 2(弁舌・音楽技巧の)はなばなしさ,才気煥発
pyrotechnist [名]花火製造家[打ち上げ師]

同上

こちらの方が、他と繋がって興味深く、辞書を引いた甲斐がありました。


◾️なぜブラジルで放火罪の厳罰化が話題になっているのか?

記事本文を見てみましょう。

ブラジルの環境・気候変動担当大臣、マリーナ・シルバ氏は、放火などの環境犯罪に対するブラジル法の罰則が不十分であると考えている。「2年から4年の刑は軽い。刑が軽い場合、罰金刑や執行猶予になってしまうこともある」と彼女。

シルバ大臣は、現在はあらゆる森林火災が犯罪と見なされ、環境や公衆衛生、財産、ブラジル経済に脅威を与えていると強調した。「約1週間半前に最後の2州が禁止し、全国で森林での火の使用は禁止された。」

極度の干ばつ
シルバ大臣は、ブラジルの27州のうち、現在極度の干ばつに直面していないのはリオグランデ・ド・スル州とサンタカタリーナ州だけだ、と指摘した。「ほぼ全国的に危険な状況が広がっていると言える」

彼女の見解によると、気候変動(高温や極端な天候を引き起こす原因)を利用して犯罪者が火を放ち、ブラジルの現状を引き起こしている。「気候変動の問題を否定しようとする政治的イデオロギーの間に、犯罪的な結束がある」

シルバ大臣は、悪意のある放火に対する罰則の強化が政府の対策室で議論されていると述べ、こうした犯罪を凶悪犯罪と分類するための法案が国会に提出されていることも明らかにした。

捜査
シルバ大臣は、この種の犯罪の捜査は、干ばつ時に火が広がる速さゆえに複雑となるが、犯罪者とその背後にいる首謀者を罰するための努力が必要であると述べた。「ルラ大統領は、迅速な捜査を可能にするために、最高裁のバロソ長官に法的支援を求めました。そして、リカルド・レヴァンドウスキ司法大臣の全面的な協力も得ている」

彼女は、情報機関が森林地域の放火を解決する上で重要な役割を果たしている。連邦警察がブラジルの異なる地域で火の発生点について52件の捜査を開始したと述べた。「衛星を使った監視が行われており、発火の起点を遡って元の加害者にたどり着くことができる」と語った。

問題への取り組み
連邦政府は、気候変動によって悪化した干ばつに対処するための計画に2023年から取り組んでいると言われている。

「アマゾン基金」から4700万レアル以上の資金が提供され、州が消防チームを強化できるようになっている。さらに、パンタナル湿地の生態系には、火災対策のために1億7500万レアルの特別予算も付与されている。「政府は、アマゾンや他の州のためにさらに特別予算をつけるために取り組んでいる」とシルバ大臣は述べた。

資金提供に加えて、ルラ大統領は、気候緊急事態に関する法的規定を創設するための暫定措置を発表した。これは、現在は気候災害が発生した後にしか認定されない緊急事態を事前に予測できるようにすることをめざしたものだ。

この記事だけでは分かりにくいのですが、
ブラジルでの森林火災は、森林破壊の急拡大はもちろん、首都ブラジリアに煙が届くなど都市生活にも影響を与えるほど深刻になっており、その一因は、ここでいう「放火」、森林を開墾して牧草地とするために火をつけることだと考えられています。財政支出も莫大になっていそうです。

↑ 政府は森林火災対策のために5億1400万レアルを割り当て。この資金は、最高裁判所によって承認された特別予算から。

↑ セラードの森林伐採は、2023年以降に1億3500万トンのCO2を排出した。最も伐採が進んだのはサバンナで、8800万トンのCO2を排出した。

↑ 国立公園の火災から出た煙がブラジリアに広がる。連邦警察は不正行為の兆候を調査中。

↑ ブラジル政府はサンパウロ州の火災の背後に放火があると疑う。この州では、21の都市で活発な火災が報告され、46の都市が高度の警戒状態。































































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