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青ペンギンの慰め

口を閉じて。目も閉じなさい。肩の力を抜いて。息を止めたり、深く吐いたりして。そうすれば、こちらの世界に溶け落ちることができる。他の人間に招待状を渡すこともあったが、誰もこちらへ辿り着くことはできなかった。当然。こちらに落ちれば元の世界に戻ることはできなくなる。なので渡したチケットはそこに描かれた可愛らしいブルーキャットのイラストを馬鹿にされた挙句に破り捨てられたの。人々に期待することはたぶんもうないはず。でも、あなたはすでに捨て去るものを無くしてしまった。なので、あなたのような哀れな罪人の隠し持つ「それ」にとても信頼を置いている。

心配しないでいい。僕は人々の夢中になった風船には初めから興味もなく。人間の求めてやまないそれらを要望通りに見せてあげただけ。誰もこちらの姿を認めることはしなかった。なのであなたが話している目の前の男の子はこの世界には存在していない。見えているようでその実、見えたものがこの世界には存在してはくれない。あなたがいつか彷徨った見知らぬ駅であなたの背後から気配のない視線を浴びせたあの子は僕の。なのであなたにはこれからこの青い鳥と共に生きてもらう。

どう見たってこの子はただの青い鳥。氷の海やら京都駅の近所やら、子供が好きな場所であればどこにだって見ることができるはず。このフライパンプラネットで初めに死ぬのは哀れなカエルども。透明な肌や艶かしい艶々に囚われた奴らは真っ先に溶けてしまう。お次はシロクマ。なのでこの世界が消え失せるその日まで、あなたたち2人にはクルミごっこをしてもらわないと。普通の人間であれば、おままごとの次にこなさないといけないのは、紛れもないクルミごっこ。ロシアのガチガチコーヒーメーカーも喜びに震えている、いかれた世界には戻れない。あなたの死に場所は、この骨しか歩かない怖い場所。2人で仲良く暮らしてね。それでも怖いことには変わりがないから、この雑草でも噛み締めていたらいい。甘みを感じようと、それに含まれた水はネズミたちから流れたもの。そこに夢を見るお歌の好きなネズミどもに話せば、きっとあなたをまた夢に陥れることもできるはず。なのでネズミには死をくれてはやらない。ネズミにやるのはレタスと指だけ。歯ブラシで撫でてもいいけれど、それはご褒美の夜にだけ。日中のあの子たちはフライパンの熱から逃れながら過ごしているはずだけれど、油断をすれば日傘もろとも干からびてしまう。なので指から舐めさせる水はとても貴重。

あなたがネズミの真似事をしようとしても、それはもう無理な話。その鳥を大事にしておきなさい。あなたの憎しみを向けた両親や他のサルどもには、フライパンで焼いたそいつのモモ肉を食べさせたらいいと思う。少し大きいはずだから焼く前にちゃんと捌かなければならないね。トレイに寝かせて上から優しく切り落とす。すると流れる流れる葡萄酒のフリしたただの鮮血。あなたがあの朝、大切な風船を割って流したものと同じだね。これ以上はきっと堪えることは難しいはずだから、何も言わないでおく。

あなたはその「ぺんだん」と仲良くネモフィラを毟る花園の夢にでも浸っていればいい。忘れてはならないのは、あなたの振りかざしたあの子供が遊ぶための鉛の棒は、実はただのペンだということ。英語を話す日本人なら始めに口にすること。初めから知っていることがとても重要だね。


(※ペン=バット=遺書)

→殺人未遂を犯して精神病院にて病死した祖父の霊に捧げた最初で最期の便り(祈り)

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