
ぐにゅにゅ、
君の知る僕を知るのは君だけ。君が見たものを知るものはだれもいない。君が話すのはただの幽霊。他のものには見えた試しがないはず。その目に死を捉えたところで、それを知るものはどこにもいない。君や僕の話す、その死とやらから伸びる影は、何処にも見当たらない。ときどき死霊どもが、わけのわからぬ言葉遊びで僕らを嘲るとしても、それもただ僕らが「死」にそうさせているだけに過ぎない。ただじっと眺めていては、そこから聞こえた響きには、あまりに怖くて崩れ落ちてしまうものだから。なので僕は死霊どもには、お菓子を持たせてあげる。
奴らが恐れるのは、かぼちゃに、にんにくに、あとはまた他にも何かあるはず。なのでハロウィンや、悪い子たちの騒ぐ夜が暁けるまで、綺麗な焚き火で堪えなくても大丈夫。焚き火を囲むのは危ないはずだから、笑ってするものではないよね。怖くなったら、沼地に住む邪悪な蛙どもや、ミミズクを気取った鳥どもを嗾けてやればいい。奴らが僕らの頭に嵌めた野菜帽子をつついたとしても、中身が空なことには気付かないはず。なので分析家たちには、それを掴めないうちから、霧を氷や水に変えて、掴めたように喜ばせて差しあげましょう。そこに隠したそれを知ることができるのは、君だけなのだから。飴は君にはやらない。舌に乗せたそれが溶けるまではね。よく噛んで。いいこだから。