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魔法のグミ、「ナタデココ」
魔法のグミ、「ナタデココ」
漢字というのは堅いので、溶かそうと願えば、誰にでも溶かすことができる。ひらがなであれば、それは唄の好きな君たちなら頑張れば溶かすことができる。見えているものの溶けた先に見える姿はなくても、そこには必ず、本当の姿を感じ取ることくらいはできる。溶けることが重要だ。僕らがグミだと思っているものや、夢や現実だと思い込んでいるものを溶かせ。すると、君の生きたい世界をそこに生むことは、もうこらえることなど出来はしない。多くの者が「ナタデココ」に味付けしようと試みることで、そのグラスに注がれる水は魔法の色や味を生み出される。だがそれは、夢に過ぎない。グラスが空になろうと、どんなにそれを求めたとしても、そこに残されたグミにまでは届くことはなく、置き捨てられたカップの中には、人々の叶えられなかった世界を含んだそのグミが取り残されたまま、溶けるまえに滅びる運命にある。それを救おうとしても、僕らにできることはない。僕らがすべきは自分の飲みたいものを飲むだけ。見えたものがそこに漂い、なかなか味わうことができなくとも、グミは溶けることはないから、必ず味わうことはできるはず。夢のマジックウォーターが空になったとしても、そこには必ず残ったままでいる。魔法にかまけている余裕はない。必ず見たものを生きること。明日にはもう掴むことはできない。見たいものを見て。