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葬儀における生前予約の注意点

葬儀は、生前に予約することが可能です。以前は「生きているうちから葬儀の話をするなんて、縁起でもない」といわれていましたが、終活ブームを経て、生前予約が当たり前になってきました。とはいえ、葬儀社というのは行き慣れないところです。「どんなことに注意して相談すればいい?」「高額商品を勧められそうで怖い」等と思い、躊躇してしまう人もいるでしょう。葬儀の生前予約について、メリットやデメリット、注意点を解説します。

葬儀の生前予約(プレニード)とは

葬儀の生前予約とは、葬儀社と打ち合わせをし、自らの葬儀プランを決めておくことです。「プレニード」とも呼ばれています。

葬儀を行う式場を決定するほか、棺や祭壇を選び、飾る花について希望を出したり、葬儀演出について相談したりすることができます。葬儀プランが固まったら見積金額が提示され、納得のゆく内容であればその見積書を持ち帰ります。

生前予約は多くの場合、葬儀の執行を確約するものではありません。本人が亡くなり、喪主となる人から依頼があったら、改めて状況変化や喪主の希望を加味したプランが提示され、見積書が出されます。喪主が見積書の内容に納得すれば、葬儀執行となります。

ただし、葬儀社によっては信託銀行や司法書士法人と提携し、生前に希望した内容で確実に葬儀が執行されるよう契約する仕組みを採用しているところもあります。契約を行う人はおひとりさまなど喪主となる身内がいないケースが多く、信託銀行に前受金を預託することで葬儀代を前払いし、司法書士法人などと死後事務委任契約を締結します。

信託銀行や司法書士法人と提携して本格的な生前予約サービスを行っている葬儀社は、さほど多くありません。この記事では、あくまで葬儀執行を確約せず前受金を受け取らない、葬儀プランや予算を決めておくという意味での「生前予約」についてお伝えします。

葬儀における生前予約のメリット

生前予約を行うと、以下の3つのメリットがあります。

・葬儀の規模や形式についての希望が明確になる

これまでも、「葬儀は家族だけで行いたい」「無宗教がいい」といった漠然とした希望は持っていたかもしれません。「葬儀の規模は?何人くらいですか?」「形式は?無宗教の場合、演出の希望はありますか?」といった葬儀社の質問に答えていく中で、葬儀の希望が自分の中で明確になっていきます。

・葬儀予算をしっかり残しておける

「身内に葬儀代で迷惑をかけたくない」と感じている人も多いでしょう。生前予約では、希望に添った見積金額が具体的に提示されるため、葬儀予算を確保しやすくなります。ただ、葬儀社から提示され得る見積金額には、お布施、遠くから来る親族が泊まるホテル代、葬儀のお手伝いをしてくれた人への心付けなどが含まれません。多めに準備しておくのが安心です。

・家族と葬儀の希望を共有できる

家族とは、自分の葬儀に関わる話をしにくいものです。しかし、見積書ができたら家族に提示し、内容を説明するだけで、葬儀の希望を共有することが可能になります。自分の葬儀は、自分ではできません。家族は、自分の想いを実現してくれる存在です。しっかり共有することが大事です。

葬儀における生前予約のデメリット

生前予約には、以下のようなデメリットもあります。

・見積もりには期限があり、定期的に見直しが必要

常に物価変動が起こる昨今では、値上げが日常茶飯事です。葬儀費用も、物価上昇に対応して値上げをする可能性は常にあります。よって、見積もりには期限が設けられているのが一般的です。期限が切れたら、一度担当者に連絡を入れ、再度見積もりを作ってもらう必要があります。状況や希望が変わる可能性もありますので、その意味でも更新は必須です。

・家族と情報を共有しておかないと意味がない

本人が葬儀プランや見積金額に満足していても、家族の誰も見積書の存在を知らないまま亡くなってしまうと、希望が確認できずに別の葬儀社へ依頼するといったことが起こってしまいがちです。必ず家族の誰かに見積書の存在を伝えておかなければなりません。

葬儀における生前予約の流れ

葬儀の生前予約の流れは、以下の通りです。

・ホームページや電話から相談日の予約を入れる

相談を希望する葬儀社のホームページにある相談フォームや、相談窓口となっている電話に「生前予約をしたい」と連絡を入れます。そして相談の予約をしましょう。できれば、喪主となる人と一緒に話を聞くのが理想です。

・直接葬儀社に出向くか、オンラインで葬儀の相談をする

直接対面のうえ相談できる葬儀社もあれば、オンライン相談に対応している葬儀社もあります。オンラインの場合、ビデオ通話を通してやりとりをします。

・見積書が届く

相談内容を元に、葬儀社が見積書を作成します。その場で見積書ができる場合もありますが、2~3日かかるケースもあります。

・希望や予算を調整して、見積書の完成

見積書を確認し、訂正して欲しいところがあったら、メールや電話で連絡します。調整後の見積書をもらったら、使用期限を確認しましょう。期限が過ぎたら、また改めて相談します。

生前予約をする葬儀社は、ここをチェックして選ぼう

たくさんある葬儀社の中から、生前予約をする葬儀社を決めるのは難しいものです。葬儀社選びの注意点を、以下にまとめました。参考にしてください。

・葬儀式場の雰囲気や規模は希望に添っているか

多くの葬儀社が自社式場を持っています。火葬場併設の式場を使わない限り、その葬儀社が保有している式場を使うことになります。式場の雰囲気を事前に確認しておけるといいでしょう。希望する規模に合った式場を保有しているかも、大事な選択ポイントです。

・葬儀式場は、自宅や病院、火葬場からのアクセスは良いか

葬儀式場へは、自宅や病院から遺体を運びます。遺族は葬儀までの間、打ち合わせや儀式のたびに自宅と式場の間を往復することになります。また、葬儀が済んだら式場から火葬場まで移動することになります。式場が自宅や病院、火葬場から遠いと、移動時間が長くなり、搬送料金もかさみます。なるべく搬送料金の負担が少ない式場がいいでしょう。

・会場、祭壇、棺などのデザインや質は納得のいくものか

できれば事前に、あるいは生前予約の相談をするときに式場の中を見せてもらい、祭壇や棺を確認しましょう。せっかくなら、デザイン性や性質に納得のゆくものを選びたいですよね。

・対応に安心できるか

事前の見学や、生前予約の相談日を決めるときなどに、担当者の対応をチェックしましょう。心情を汲み、しっかりサポートしてくれそうな対応ができているでしょうか。対応がぞんざいな葬儀社は、肝心の葬儀のときもぞんざいな仕事をする可能性が否めません。ご自身の、たった一度のセレモニーだからこそ、心から安心してお任せできる会社を選びましょう。

相見積もりをとって、納得のゆく一社に決めよう

生前予約の場合は、亡くなってからと比較して時間に余裕があるため、相見積もりをとることが可能です。できれば一社だけではなく複数の葬儀社に相談し、見積書を取り寄せて費用を比較しながら決めましょう。


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