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色々な意味で素敵な贈り物が届いた。

朝、不快な感じで目覚めた。
なんかだるいし、頭も痛い。
昨日の夜、遅くまで色々してたせいだ。
今日はゆっくりだらっとしよう。と思ってたら、朝っぱらからピンポン。
「郵便局でーす」
今日、なんか届く日だったっけ?と思いながら重い体を引きずって玄関まで行くと、何やら包みを抱えた郵便局の人が。
Amazonじゃないなー、郵便局だし。

ある画家の子が荷物を送ってくれた。この間その子が制作している現場に陣中見舞いに行ったからかな?と思いながら、バリバリと開けてみると、遅れてきたサンタさんよろしく、その子の絵が装丁に使われた本とか、美術館で個展を開催した時の画集とか、色々なところとコラボしたマグカップとか絵皿とか、それこそたくさん入ってて見てると気分が上がってきた。なんてこと、こんなに送ってくれて。

「その子」とか呼んじゃってるけれど、今では企画ギャラリーではもちろんのこと、三越とかいろんなデパートでも企画で個展してるし、本の装丁画にもたくさん採用されてるし、多分どっかで見かけたことあるような作家になってるから「その子」はないか。

ひとつひとつ梱包をといていて、作家あるあるにふと気づく。
プチプチで梱包してそれをテープで止める時、ガムテープで止めないでグリーンの貼って剥がせる養生テープを使っている。これは作品を画廊や個展会場に運送するとき、綺麗に剥がせるし、もしも売れ残ったりしたら返送する時にも汚くならないで使えるから、私が知ってる作家は時々色が違うくらいで、ほとんどそのテープを使っている。
有名になってもそういうところが変わらないって、なんかいいなって思っちゃった。
それにしても、ありがとうございます。
ギャラリーのパーティとかに来てくれて、美味しいそうに楽しそうに笑ってた彼女を思い出す。
あれから10年以上経つんだね。

ギャラリーにお金を払って個展をするのは誰でもできる。それはパリでもニューヨークのギャラリーでも変わらない。いわゆるレンタルスペースみたいなものだ。日本では貸しギャラリーという名前がついている。

「この子」みたいな作家の場合は、ギャラリー側が企画を組んで、経費はギャラリーが持つ。そしてギャラリーがすでに持ってるお客様に作品を勧めたり、マネージメントもしてくれる。なによりその作家の作品を自分のギャラリーに飾りたいのだ。
そう思わせる作家になるのはそんなに簡単なことじゃない。そりゃそうだよね、作品が売れたらまだいいけれど、もしも全然売れなかったら、その期間かかったすべての経費が赤字になるんだから。
もうすでに名前が出てる作家の個展はある程度失敗しない。ウォーホル展やりますって言えば、集客は間違いないし、もしも高額すぎて本画や版画が売れなくてもとりあえずグッズや画集は売れる。
でも売り出し中とかの作家の場合だと、自分の見る目がなかったんだろうかってちょっと凹んだりもしちゃう。
だけど、そっちの方がやりがいがある。
いい意味で博打みたいなものかも。

デパートの美術画廊は売れない作家の個展はしない。デパートの壁面の中でその作品が飾られる広さの経費の割合は半端じゃないから、その壁に絵をかけてもらえるってことは商売になるって思われてるくらいの作品だってこと。
美術画廊のオヤジ(失礼)がよく言ってた。
「あー、ダメダメ、そのくらいの作家じゃ全然金にならんし、うちの顧客にも勧められない」って。
時々、なんかのグループの展示とかもしてるけど、それはデパートのイメージアップになるか、その団体がお客さんを呼べるとか、なにかしらデパート側にいい事がある時。
そりゃそうだ。お商売だもの。

「私の絵が美術館にあります。」っていうのもこれまたちょっとな部分がある。
それは「寄贈」なのか「美術館が購入したもの」なのかの違い。
簡単に言うと「寄贈」は読んで字のごとく無償で作家側から送ったもの。「寄贈」なのかどうかは美術館の図録とかに書いてある。美術館にある作品が「寄贈」なのか「対価をともなった所蔵品」なのかには結構な違いがある。有名作家が亡くなって「遺族が寄贈」する場合もあるから一概には言えない場合もあるけれど。

昔知ってた地方の水彩画教室の先生をしている女性はこう言ってた。
「どうせ私なんかは絵の世界での国会議員にはなれないし、なれてぎりぎり県会議員くらいじゃない?だから県内の有名な病院とか美術館とか、それこそ市役所とかに作品を送りつけるのよ。あっちは返すわけにもいかないし、飾らないわけにもいかないし、一応、図録にも載るでしょ?そうしたら教室の生徒にもいいアピールになるじゃない。私の先生の絵は美術館にもあるし、あそこにもここにも飾ってあるのよって言えるもの。「寄贈」か「美術館がお金を出した」かどうかなんて、どうせ普通の人にはわからないものね」と。

悪い人じゃないんだろうけど、苦手な人ではあった。
でもまあ、生きる力みたいなものは強い人なんだろうなとも思わなくもない。
絵の世界の県会議員でも立派なものだ。よね。

とりあえず、朝の体調不良はどっかにいった。
今日はお風呂に入ってから、その子が装丁画を描いた詩集を読もう。
きっといい気分で1日を終えられそう。


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