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どう考えてもそれが悪い事だとして、家族のためだったらどこまで出来るんだろう。ドラマの話。

昨日はなんだかお休み気分で、朝方までドラマを見ちゃって、少し眠い。
徹夜なんて平気だった頃が懐かしい。

AppleTVでやってるハイジャックっていうドラマを観た。
タイトルのまんまハイジャックするっていうお話で、乗客の中に主人公の交渉のプロが乗ってる。
交渉のプロっていっても警察関係者じゃなくて、ビジネスマン。

ハイジャック犯の要求は刑務所に入ってる悪の親玉を釈放させること。

このドラマで面白いところはハイジャック犯が、マフィアとか重罪犯とかじゃなくて、軽犯罪を犯してるくらいの人達で、基本的にそこまでの悪じゃないところ。
要はすこーし脛に傷のある素人さん。
家族とかを人質にされて、それはいかんと頑張れるところも案外といい人達。
だからなのか、主人公の交渉(口車っぽい)に乗っちゃう。

主人公は交渉を始める時、相手に喋らせておいて、まずその内容に共感と理解をしめす。それでその後、自分のシナリオ通りに事を運ぼうとする。
自分の話を頭から否定されて気持ちのいい人はいないから、それはある意味普通の会話でも王道のやり方だと思う。
初めは犯人も「いい奴のふりして、俺を騙そうってんだろっ」ってとりあえず言うんだけれど、結局、主人公に持ってかれる。

でも、裏で糸を引いている悪い奴は本当に悪くて、そういう素人に毛が生えたくらいの人を利用して、利用し終わったら簡単に殺しちゃうし、自分達の要求を通すために関係ない人も殺しちゃう。
で、結局目的は自分達の釈放と何のことはないお金なんだよね、これが。
株を空売りしてハイジャックすることで航空関連株の株価操作しようとしてる。
何なら最終的に飛行機が落ちた方が儲かるし、みたいな。

それに対応する政府や警察やテロ対策班みたいな人達も、なんかいい人。
大概こういう映画に出てくる政治家は、我が身の保身か建前を振り翳して、お前ら後味悪いんだよ!みたいな政治的駆け引きみたいなことするものだけれど、途中ちょこっとそういうシーンもありはするけれど、結局、人質の命を最優先させるシーンの方が多くて、なんだ、いい人じゃんってなる。

管制官の女性も、管制官みたいな仕事をしてる割にいつも仕事に遅刻して、その理由を「息子が盲腸」とかしれっと言う。
それを聞いてた幼稚園児くらいの子供に「この間も盲腸って言ったよ」って言われて「盲腸には2回ならないね」と、とぼけたことを言うお間抜けなお母さん。

初めにここまで描かれてるから、この人も本筋に絡んでくるんだろうなあって思って見てたら、本業ではものすごい手腕を発揮する。この人もいい人。

とにかくハイジャックっていう物騒なタイトルだけれど、出てくる人が糸引いてる悪人以外、ほとんどいい人。

おまけに糸引いてる悪い人は2人いるんだけれど、このうちの1人が強欲でむっちゃ嫌な奴で、最後までなんて奴だってなるんだけど、あんまりにもお金に執着して株取引の時間を引っ張るもんだから、それまで存在感が薄かったもう1人に頭ぶち抜かれて死んじゃう。
おっ、そうくるわけ?それは想定外。
見てる方としては、ま、いっか。こんな奴が逃げ伸びちゃって豪遊されても、気分悪いしね。ってなる。

飛行機に銃を持ち込む担当の男は、金融詐欺みたいなちっぽけな犯罪を犯していて、それを利用されて糸を引いてる悪い人の株取引もやらされてる。

セキュリティチェックは、家族を人質に取られてる女性の手引きで難なくスルー。
なのに、なんかいつもバタバタしてて時間にぎりぎりで、搭乗ゲートに間に合わなくて乗せてもらえない。
どれだけ粘っても「ダメです。もう締め切りました。」って言われる始末。

そこで登場するのが、プロ交渉人の主人公。
通りすがりざまにその状況を見かねて、自信たっぷりに「乗せてあげてよ」と。

そう、蓋を開けてみると偶然にも機内の銃持ち込みに手を貸したのは、紛れもなく主人公なんだよね。

まあ、悪人チームはこの便がダメだったとしても、どうしたってこの計画をやるだろうから、主人公が一緒に乗ってるこの飛行機で良かったって事でいいか。

このドラマの中で、高校生くらいの女の子がラゲッジスペースに鞄を入れようとして苦戦してると、年配の男性が手伝うシーンがある。
その時、親切な事をするのに「俺はオールドスタイルだからね」みたいなセリフを、わざわざ言い添える。

困った人のお手伝いをするとしても、やって当たり前じゃなくて、一言断る配慮がいるっていう感じが、今っぽいなと感じた。
別段、下心なんかないし本当に手伝ってあげたいだけなのに、それを相手にわかってもらう必要があるんだなって。

お節介もお手伝いも、自然な行為じゃなくなって、そういうことをさっと出来る人はもう「オールドスタイル」なんだなって。
今と昔の、人と人との距離感の違いみたいなものを見た気がした。

ま、この高校生に一言断りながら、さっと手を貸した年配の男性も実はハイジャック犯の1人なんだけどね。

そりゃー、このハイジャックは成功しないわ。

ひねくれた私は家族って空恐ろしいものだなって思ったけれど、多分、家族ってなんて素晴らしいものなんだって言わなくちゃいけないんだと思われる。




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