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「帰ってくれ」と言った気持ちが痛い。「続きは、また明日」
「光る君へ」の最終回を観た。
道長の死の床のシーンが好きだった。
確実に死に向かっている道長。
静かな部屋の中に横たわり、瞳は閉じているけれど起きているのか眠っているのかわからない。
まひろが入ってくる。
「帰ってくれ」と顔を背ける。
その言葉の意味も、痛いほどわかる。
もちろんまひろは帰らない。
理想的だった。
ずっと大好きだった人が、死の間際側に寄り添ってくれてお話をしてくれる。
毎夜、毎夜、少しづつ、少しづつ。
「続きは、また明日」
夢うつつを彷徨いながらも少ない覚醒の時、好きな人が側にいる。
その人の声を聞くことができる。
今世で呼ぶ所の「明日」へと続く緩慢な時の中で、こちらとあちらの境目が少しづつ危うくなっていく。徐々にどちら側にいるのかわからなくなる。
それでも多分、好きな人の声は繰り返し響き続ける。
「続きは、また明日」
なんて素敵なんだ。
今世での朝があけ、道長の左手が布団の外に出たままになっているカットが、美しすぎて泣けた。
私の最後もこうだったらいいな。って。
だって、お母さんもお父さんに手を握ってもらってたもの。
愛の種類は色々あるのだろうけど、そんなことなんてどうでもよくて、愛して、愛されたってことだけが大事なんじゃないのかなと、なんとなく思った。