錦織圭、ウィンブルドン初戦。久しぶりに夜中にテニスみた。
昨日の夜、久しぶりにテニスの試合を見た。
夜って言ってももう明け方。
ウィンブルドン初戦、屋根がないコートだから雨の中断を挟んでおまけに前の試合が長引いて、試合開始が遅れた。
こんな時間までテニスの試合を見るために起きてたの本当に久しぶりで、なんだか懐かしい感じだった。
この間、入院してる時に見た試合が怪我で試合に出れなくなる錦織の最後のウィンブルドンになった。
とっくに消灯した病院のベットに潜り込んで、テレビの光だけでこっそり見てた。
巡回に来る看護師さんが笑って見逃してくれたのを覚えてる。
試合が始まった。
なぜだかこっちが緊張した。
サーブが良くなってる。
フォームが変わってる。前から思ってたけどトスをあげる時足を引き寄せるのやめた方がいいと思ってた。重心がブレやすいから。
それとサーブ打つ時の腕とラケットの角度を見ると、グリップも変えてる。
そして前より右腕が一回り太くなってる気もする。
試合開始のファーストサーブがはいっただけで、キュンとした。
頑張って。一生懸命応援してたころに一瞬で戻った。
相変わらずものすごく上手だ。
今年はまだほんの少ししか試合に出てないし、この試合も初戦だから試合感が戻らないかもと思っていたけれど、コートの中で躍動する彼を見ていると時間が戻ったようだ。
おまけに落ち着いて見える。相手のことがよく見えてて、それに対する戦術を考えてる姿がはっきりとわかる。
上手い。本当に上手だ。テクニックでいったら世界レベルで見ても5本の指に入ると思う。多彩で面白いテニスを見せてくれる。
ああ、これが錦織圭のテニスだ。
改めてそう思った。
だからこそ残念に思う。
なぜあの頃、このサーブを手に入れられなかったんだろう。
早いサーブが打てれば、いいリターンは返ってこないわけだから、楽にポイントはとれるし、やっぱりスポーツって速さとか高さとかは数字でハッキリ表れるから、見ていて面白いしすごいと感じるのは当然だと思う。
でも彼のテニスのテクニックを持ってすれば、速さがそんなになくったってラインの四隅に打ち分けられるし、高く跳ねるボディも打てるし、ボールの回転も軌道も器用に変えられるから、簡単にはリターンできないだろうと思ってた。
リターンされたとしても、その角度でサーブを拾わせてコートの外に追い出しておけば、コートはガラ空きになるし、急いで戻ったとしても相手はポイントを決めるほどのショットは打てない。
速度がなくてもそういうサーブにすればいいのにと思ってた。
あの頃はセカンドサーブの方がいい感じで打ててた気がする。
そして、セカンドサーブでもポイントを獲れる人だ。
だからと言ってそんなサーブがナダルやフェデラー、そしてジョコビッチにいつも通用するとは言わない。
特にジョコビッチは「本当かよっ」ていうくらいどんなボールでも拾ってくる。
現役バリバリの頃のマレーもそう。
だけどファーストサーブの確率が30-40パーセント前後に落ちて入らないよりましだ。入らなければ入らないだけ本人も嫌になるだろうし、入れることにやっきになってゲームのリズムも取れなくなる。
グランドスラムはフルセットになると、試合が長くなる。4時間越えのゲームも出てくる。あのペースで4時間走り回るなんて、フルマラソンどころの騒ぎじゃない。
走っても走っても、返しても返してもボールがネットを越えてくる。
試合を見ててもどうしたって体力の違いってあるんだなあと思ってしまってた。
まあ、あの4人は異常なんだろうけど。
あの4人と対等に戦えてた錦織は、やっぱりすごかったんだと思う。
マレーに「もう、錦織とは試合したくない」って言わせたこともあるし、ジョコビッチもなぜか錦織戦の時は気合が違ってたと思うし、たしか、錦織には負けたくないってハッキリと言ったこともある。
日本のテニスプレーヤーが、世界のトップ選手相手に戦える日が来て、BIG4とエルメネジルド・ゼニアのお揃いのスーツを着て、肩を並べてファイナルに出場できるなんて思ってもみなかったから、カッコ良すぎて本当にワクワクさせてもらった。
今、冷静に考えると、錦織はグランドスラムでベスト8に残って当たり前だと思って見てたのが申し訳なく思えてくる。
あれだけのプロ選手がいて、その場所に立てる人なんてほんの一握りなのに。
過去形で書いちゃいけないね。
昨日の試合を見てて、またワクワクしたもの。
いままでワクワクとドキドキとをたくさんくれたんだから、これからは一試合、一試合、彼の満足いくテニスができることを応援しようと思った。
昨日の試合は、日が暮れたからサスペンディッドゲームになって、1-1のまま今日に延期されてる。
試合の途中と同じだから緊張したままの夜をむかえるとしても、体力的には味方してくれるんじゃないかと思ってる。
初戦、突破してほしい。
勝手な欲張りで言ってるんじゃなくて、彼に少しでも長くあの雰囲気の中にいて楽しんで欲しいから。
自分の居場所はまだここにあるって感じてほしいから。
オリンピック、確実に楽しみが増えた。
