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街の小さなレストランでのお話。

この間初めて入った街の小さなタイ料理屋さん。

奥の方に3-4人座れるくらいのカウンターがあって、お店に入った手前の方に4-5人座れるテーブル席が2つと、2人用のテーブル席が2つくらい。

お店に入った瞬間いい香りで、俄然タイ気分。

オーダーしようとしてメニューを見ていてはたと気づく。
私達以外、全員が知り合いっぽい。
いわゆる常連ってやつだ。

奥のカウンターの人も、手前の4-5人掛けテーブルの人も、離れている席にいても話が通じている様子。

お酒も入ってるから、声も大きい。

少しばかりの場違い感を感じながら、人懐っこそうな女性にオーダーを通す。

私は今はお酒が飲めないからソフトドリンクを頼んだんだけど、周りの人はみんな同じようなメニューを頼んでる。
ドリンク2杯と盛り合わせのセットみたいなもの。

そこでまた、なんとなく思う。
この全員知り合い感満載の中、私達だけ全然違うものを頼んじゃって作ってもらうのが、なんだかご面倒かけますって感じ。

もちろん、メニューにあるものを頼んだんだし、お酒が利益率いいことも知ってるけど飲めないし、周りの人とか、ましてやお店の人がそんな空気を出してるわけでもないのに、小さいお店だからかなんだか居心地が悪くなってきた。

一緒に行ってた人が「あっ、タイのビール好きだから頼もうかなあ」と言った。
いつもはお酒飲まないのに。ってことは少し同じように感じてたんじゃないかと思われる。

お料理ができるのを待ってると、60歳くらいの女性が1人入ってきた。
入って来るなり入口と奥に向かう通路の真ん中に立ち止まって、4-5人用ののテーブルの人たちと話し出した。
それも立ったまま。

あー、この人も知り合いなんだと思って見ていた。
どこにも座らずに狭い通路にずっと立ったまま話してる。

そうこうしているうちに私達がオーダーしたお料理が運ばれてきた。
味は普通に美味しい。特別ってわけでもないけれど、なんちゃってタイ料理じゃなくてきちんとタイ料理だった。

あれやこれや食べてると周りの雰囲気も少し気にならなくなって、なかなか楽しい時間を過ごしていた。

でも、私の目の前にいる立ちながらずっと話してる女性の圧迫感は消えないまま。

私達が食事を終えるまで、大きな声で立ったまんま話している彼女のお尻と背中を眺め続ける羽目になった。
個性としていうと、結構大きい。

あーお腹いっぱいだと思ってまったりしていると、その女性がつと私達の横に座ってた同年代の女性見てこう言った。
「あらー、久しぶり!□□ちゃんも来てたのー」
彼女が入店してゆうに40分以上は経ってる。そして私達の横のテーブルの女性もその立ちっぱなし女性を見てこう言った。
「あらー、▽▽さん、久しぶりー。やだ、全然気が付かなかったー」

マジ?あの存在感であの声で、彼女たちのテーブルからも1mも離れてないのに、マジで?と思ってたら、今度はそっちのテーブルに移動してこれまた立ったまま話し始めた。

彼女の顔がようやく確認できた。そんな顔だったんだ。ずっと背中とお尻しか見てなかったからね。

ここまで来たらわかると思うけど、お店の人だった。
でも、オーダーを取りに来た女性も、料理を運んできた女性も、その通路に立ったまま話し続ける女性に声をかけもしなかったから、気づかなかった。

まあ、逆に声をかけないってことはものすごい知り合いだっていう可能性の方が高いわけで、でもあまりにも常連さんでいっぱいのお店だったから、強者の常連さんなのかと思ってた。

井之頭五郎になるにはまだまだ修行が足りないなと感じた夜だった。
「いやいや、私、下戸ですから」と当然のようにお酒は飲まず、好き勝手に自分の欲求の赴くまま食事を楽しむ。それを目指そう。

しかし、お客さんと仲がいいのはもちろんいいんだけれど、それ以外のお客さんにとっては少しばかり気まずい雰囲気を作り出してる立ち話だと思うけれど、見てると奥にいた料理担当のおとなしそうな男性とその女性との会話から、旦那さんだと思われた。

対照的にすごく、ものすごくほっそりした男性だった。
体型は関係ないか。
ただ見たまま書いただけです。

あっ、今日は美容室を予約してるので、この辺で。
その後、画材も買いに行くんだ。
ちょっと面白そうなもの見つけたから。




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