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書籍『この社会の歪と希望』からわかる『れいわ新選組』と『公明党』の関係

作家雨宮処凛さんと同じく作家佐藤優氏の共著『この社会の歪と希望』

ともかく貧困や差別の現場で奔走する雨宮氏と十年以上前からそんな彼女に様々な助言をしてきた関係の両氏が、現在の問題と将来の展望を語り合う一冊。ここでは以下の4章立てで問題に光を当てる。

第一章『コロナ禍が浮き彫りにした社会の歪み』

第二章『教育という光』

第三章『「相模原事件」が突きつけるもの』

第四章『貧困問題と政治の現場から』

雨宮氏はボランティアで様々な突端の現場で活躍しており、佐藤氏は『役人だったからこそわかる視点』で具体的で実効性あるアドバイスが興味深い。例えばコロナ禍で密になりやすい事からネットカフェが閉鎖され『ネットカフェ難民』が大量発生し神奈川県では「神奈川県立武道館」が開放されたまでは良かったが、暖房もなく毛布三枚だけ与えられる窮状に対し雨宮氏は支援団体を通じ役所側に改善を訴えたが全く対応がなされなかったと嘆く。

それを佐藤氏は「県側と市町村側の間に『権限争議』が起こった可能性」に言及する。要は両者の間に押し付け合いの状況が発生していて、解決は下からではなく上からの必要があり、この場合黒岩県知事へ現状を知らせるため正攻法ではなく、電報を打ったり県庁前に詰め、大きな模造紙に主張を書いて、そこを通れば必ず目に留まるようにし、目に留まった事を確認できたタイミングで声を掛けるなど。

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東京都の『ネットカフェ難民』のケースで東京都へ日本共産党の都議団や国会議員を通じ嘆願してもなかなか動かなかったのだが、佐藤氏いわく「役人の内在論理」として自民党や公明党の与党議員でなければ役人も動けない内情をアドバイス——と言った調子で突端の現場で事態の改善を図るために行政に訴える場合にも「やりかた」が存在している事を我々も知る事が出来る。

一方雨宮氏はれいわ新選組のブレーンを務めていると紹介され、ここでは彼女自身「特定の政党に拘ってはいない」とした上で、2015年ごろ生活保護世帯の子供の進学などについての国会議論で山本太郎氏の質問作りの手伝いをしたが、その問題が公明党議員によって最終的に大きく改善の方向に向かい、貧困問題に関わる人たちにとって非常に大きな出来事であったと語る。

また、2019年の参議院選挙選挙でれいわ新選組から当選した2名のうち脳性麻痺などを持つ障害者木村英子議員が「国土交通委員会」に所属した。そこでは質問の度に障害者施策を挙げ、JR新幹線での「バリアフリー化」は、当時の国土交通大臣であった赤羽一嘉氏がすぐさま「新幹線のバリアフリー対策検討会」をわずか二三日の間に設置し状況改善を推し進めたことから雨宮氏は「ああ、赤羽大臣は本気で変えようとしてくれているんだ」と感動したとしている。

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一方もう一名筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の舩後靖彦氏は「文教科学委員会」に属するもこちらはまったくそうではなく「大臣によってまるで違う」とも語る。

ここで佐藤氏は公明党を「価値観政党」であるとし、2019 年の参院選でれいわ新選組は東京選挙区で公明党の山口代表へ「刺客」候補(現在は離党)を立てる敵対行為を行ったにも関わらず、この選挙後公明党はれいわ議員からの問題提議は選挙時の禍根から「捨て置け」としても良かったものを

「それとこれとは別」とばかりに実現に向け速やかなアクションを起こしている。東京選挙区ではれいわ新選組の候補が「政策」ではなく次元の違う「個人的な宗教観」で出馬してしまった事を「信仰者としての越権行為」であり悪手であったとも語る。そして「無用な敵対より共闘が好ましい」としている。

——雨宮氏は「れいわ新選組の木村英子議員はわずか当選からの半年間で4回の質問の内2つで現実の障碍者行政を大きく動かす事が出来た。それは議員としての彼女にとってだけではなく、障害者運動にとっても大きなことだった」——と感謝を述べている。

私は議員が2名のみのれいわ新選組の1名が現実に行政を動かせた事は素晴らしいと思うし、山本太郎氏が選挙であそこまであざとく公明党を敵視してきた事から、今回の書籍でれいわ議員の問題提議を公明党がすくい上げ政策実現している関係を知ることは率直に驚きだし、軽い感動もあった。

しかし党の代表山本太郎氏はこれらの事実をもってして公明党へ感謝の意を述べたとは聞かないし、新人議員の木村氏の本来大きな誇らしい功績を政府与党=公明党が大きく手助けした事実を表面上「なかったかのように」し、一方的な木村氏の功績としてしまうなられいわ支持者へのある種「欺き」でもあるしあまりにも残念だ。

加えて現在も、来る衆院選で公明党候補の選挙区に自らが立つ可能性を尚も口にする態度は彼の人格を「恩知らず」と疑いたくもなる。私はやはり両者目指すものの相性がいいと思うので佐藤氏がアドバイスするように「共闘」をめざして欲しいと思う。その場合きっと雨宮氏も大賛成する事だろう。

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