見出し画像

卵を求め、フランス人のおいちゃんとなぞなぞを

私にとって初めての海外は1年間のフランス交換留学でした。リヨンという街で、パリが東京なら、リヨンは大阪や名古屋という感じかなと。2005-06年当時、リヨンにはパリほど英語が話せる人がいなかったので、英語で伝えようとすると「分かんないから」というジェスチャーをされることが多かったです。まったくと言っていいほどフランス語が話せなかった私にとってはいい選択でした。

留学して間もないときのこと。卵を買おうと個人経営のスーパーに行ったところ、卵がどこにあるのか見当たらず。スーパーのおいちゃんも暇そうにしていたし、聞けばいいやと思ったわけです。フランス語で卵は「œuf(ウフ)」と言うんですが、この発音がなかなかできず。「Où sont les œufs?(卵はどこにありますか?)」とたずねても「?」の表情。「œufs.œufs」と言っても「??」。

しょうがない。「最初は白くて丸くて、それは大きくなると鳥になる」ということをフランス語で言ってみました。もちろんつたない私のフランス語です。「鳥」も「poulet(プーレ)」しか分からず。日本語で言うと「鶏肉」です。

おいちゃんも一生懸命考えてくれたんですが、お手上げ。「英語で言ってくれ」と言われ、私もそのときにやっと英語で言えばいいんだという発想になりました。「egg」。おいちゃんは大笑い。「eggぐらい分かるよ! 卵が欲しかったんだね。いいかい、卵はœufsだ」と、発音の仕方を教えてくれました。

その卵はどう料理したんだろう。もう覚えていないけれど、それからも「œufs」と言う度に、これで伝わるんだろうかという不安はありました。ただ、日常的にこういうことを繰り返していたので、次第に話せる言葉は増えました。間違えても辛抱強く待ってくれるリヨンの人々のおかげです。

いいなと思ったら応援しよう!