蹴球観戦記@大阪府選手権予選R16
大阪府の高校選手権予選を観戦してきました。今回はその感想です。
興国vsアサンプション@JG堺
観戦したのはベスト16の一戦。興国vsアサンプションです。
プリンスリーグに所属し、古橋亨梧ら数多くのプロ選手を輩出する名門の興国に挑むのは、近年、力を付けてきているアサンプション。ガンバ大阪の育成の礎を築いた上野山氏を監督に招聘し、中高一貫での強化に取り組んでいます。
スコアレスの前半。
負ければ3年間の高校サッカーが終わる試合だけに硬い印象の立ち上がり。4-4-2のアサンプションは、ロングボールから何度か興国ゴールに迫りますが、シュートチャンスまでには至りません。
立ち上がりはやや落ち着かない様子の興国でしたが、前線からのプレスでボール奪取の機会を増やすと20分頃からボールを保持する時間が増え、徐々にチャンスを増やしていきます。守備時は4-4-2、攻撃時は4-1-2-3と攻守のシステムを変化させることで生まれる段差と、興国の伝統である両ワイドの個人技で決定機を作りますが、アサンプションGKのファインセーブに阻まれて、前半をスコアレスで折り返します。
興国が本領を発揮した後半。
前半の終盤に交代枠を1枚切り右ウイングを変えて、早めに攻撃の活性化を図った興国は、後半立ち上がりから攻勢を仕掛けます。交代で入った14番が右サイドをドリブル突破から決定機を作るも、シュートミスで得点には至りません。しかし、明らかにギアの上がった興国は、ゴールに迫ると13分に左サイドの突破から7番のゴールで先制。その後も、両ワイドの突破と13番の選手への楔を起点にチャンスを作り出し、3ゴールをゲット。4-0でベスト8進出を決めました。
まとめ。
前半こそスコアレスとなったものの、格上の興国が力の差を見せつける結果となりました。昨年途中で監督が交代した興国は、以前に比べて前線での連動がスムーズになっていました。また、選手層が厚く、交代選手によってギアが一気に上がった印象でした。特にFWで下がってボールを受ける事が多く、インテリオールの役割もに担って13番の選手は、攻撃の起点としてかなり機能しており、今後の活躍が楽しみです。
アサンプションは、2カテゴリー上の相手に対して前半は健闘していましたが、後半一気に差が露呈してしまいました。中盤の7番を起点に攻撃を組み立てようとする意図は見受けられましたが、興国のプレスのエンジンがかかった前半15分以降は守勢にまわり、ボールを持たせてもらえませんでした。同じ高校生とは言え、天皇杯に例えるなら、J2とJFLと同じだけのカテゴリー差があり、ここのクオリティはもちろん、選手層にも差があっただけに、ジャイアントキリングを起こすにはもう一工夫が必要だったのではないでしょうか。
全てにおいてレベルが上がる大阪のサッカー。
私が大阪でプレーしていた約20年前と比較すると、プレーの質、環境面など全てがかなりレベルアップしている印象の大阪のサッカー。環境面では2010年に出来たJグリーン堺の影響は大きく、私の高校時代はベスト8まで土の高校のグランドでやっていたのが、今では早い段階で人工芝での試合が行なわれ、ベスト8からはスタジアムでの有料開催です。
競技レベルの面では、リーグ戦文化が浸透し、同じ高校生であってもカテゴリーの差が明確になりました。そんな環境の中で勝ち抜くためには、リーグのカテゴリーを上げながら強化していくことはもちろん、相手との力の差を意識しながら賢く戦うことも必要になると感じました。
このような傾向は全国的にも、そして中学年代にも見られるように思います。レベルの上がる育成年代のサッカーについて行けるように、私も日々学んでいきたいと思います。