アメリカで日本語を学ぶ中学生に伝えたことと大人気だった『ミチムラ式漢字eブック』
海外子育てが長くなるにつれて、なんとか小学校までは日本語教室や補習校などで日本語を続ける選択をしたとしても、卒業後、どうしようか?と迷われるご家庭も多いのではないでしょうか?
もう小学校の時のように親の言うことは素直に聞いてくれない。
現地での生活も忙しい。
中学校で学ぶ内容の日本語の語彙が追いついていないから必要以上に難しく感じる。
近くの日本語教室は小学校までしかない。
などなど理由は色々あると思います。
と同時に、仲間とのつながりや仲間からの刺激を受ける絶好のお年頃。
そんな時期に、どのようにして仲間と楽しみ、現地校で培っている思考力を活かしながら、日本語の語彙を増やし日本語を通しても世界を広げていくことができるだろうか?
と悩んでいました。
同じように悩むお母さんからお声かけをいただき、アメリカの学校に通う中学生の女の子3人に「漢字」を教える機会に恵まれました。
そこで、私が大事にしたいと思ったこと、やろうと思ったこと、そして実際やってみてどうだったかということをお伝えしたいと思います。
少し先取りして結論をお伝えしますと、感じたことは、『ミチムラ式漢字eブック』は中学生の漢字学習にもぴったりだ!ということです。
1アメリカの中学生に日本語を教える時に大事にしたいことは?
さて、アメリカで産まれ、暮らし、日本語の勉強も頑張ってきて、ただいま日本語学習難民になっている彼女たちに何を教えようか、と考えました。
そもそも
を自分なりに考えてみました。
そして、初回の授業で、お子さんたちにも「日本語を続けてきてよかったと思うこと」を教えてもらいました。
出てきた答えは
英語に訳されていない日本語の本が読める
(中学校の選択授業である)中国語の学習が漢字に初めて触れる他の子よりも簡単に感じられる
大好きなイラストレーターのツィッターが読める
家族と喋ることができる
日本語の中学生女子向けの雑誌を読むことができる
日本をもっと楽しめる
日本に行った時に看板などが読める
などでした。
そこで私が今回意識してみようと思っているということをお子さんたちに伝えてみました。それは、こんなことです。
日本語を続けてきてよかったと感じてきている理由に自分の興味を広げていける、大好きなこと・人と繋がれる、楽しみが増えるということが出てきていたのでここはすっと受け入れてもらえたと思います。
ということで、私がみんなに日本語を教える時に大事にしたいと考えていることは今のところこの3つであることを伝えました。
1つ目は、今の自分や生活も大事にしながらできることをする。
なぜならこれまでは親のサポートのもと日本語学習を続けてきたかもしれないですが、中学生になるとそんなサポートが鬱陶しくなってくる時期だからです。そんな時だかrこそ、自分や仲間の「好き」「やってみたい」が叶うからこそ触れ続けたい日本語環境を準備したいと思いました。
2つ目は、漢字を通して「ことば」を知り、世界を広げていくこと。
漢字は漢字テストのために学ぶのはもう卒業。漢字を通して広がる言葉を通して掴めるわかる日本の感性、モノの捉え方、自然との関わり合いなどアメリカとは違う考え、感覚にも出会っていってほしいと思っています。そして、今の彼女たちの生活を大事にした上で、仲間と一緒に、難しぎず簡単すぎない課題にチャレンジしていきたいと思いました。
3つ目は、漢字の学習に苦しんで欲しくない。
これはこれまでの記事でも書き続けていることなので説明は省略します。
ということで、とりあえずレッスンの3つの柱は以下のように定めてみました。
2 アメリカの中学生に日本語を教える時の3つの柱
①漢字を通して言葉を増やす。仕組みを知って賢く学ぶ」方法
漢字を通して言葉を増やす方法として、第一回目なので、
「麓」「籠」「惑」
とミチムラ式漢字カードからランダムに漢字を拾ってみました。
学習内容としては
1. 漢字の中に何が入っているかをじーっとみる。
ごちゃごちゃしているように見える漢字でも、よーくみると知っている漢字がたくさん入っています。
ミチムラ式漢字カードに唱え方が書かれているので、それをみると難しそうな漢字もあっという間に書けること初体験します。
2.漢字が使われている語彙に触れる
小野ふじ子先生発案の漢字リズム音読で音読み・訓読みがはいった熟語をリズムに合わせて絵を見ながら読み上げていきます。
小野ふじ子先生の漢字リズム音読についてはこちらをご覧ください
↓
今回は例えば、
ワク ワク 惑 惑 迷惑 誘惑 思惑 惑星 当惑する
まど まど 惑う 逃げ惑う 戸惑い 困惑 疑惑が晴れる
などというように、Wordwallでその語彙にあったイメージを見せながら読み方や意味を当てていきました。
何度も読んでいるうちにすらすら読めるようになっていきます。一つ一つの意味や使い方がまだわからなくてもしばらくは見慣れる、聞き慣れる、量に触れることをゴールに行います。
②チャレンジ
時事問題に関してはマルチリンガルの子どもの教育サイトのおひさまプロジェクトさんが出してくださっている以下を活用させていただこうと思いました。
3 補習校に行かない中学生に漢字を教えてみた結果
いざ始まると、中学生、本当にかわいい!
(自己紹介をする中で、三人でキャピキャピしながらいろんな質問をしあったり、私のプレゼンに拍手をしてくれたり。鋭い問いかけを投げかけてくれたり。これまで小学生しか教えていなかったので、対話を広げられる面白さを実感しました。)
で、結果ですが、漢字学習でとても食いついてくれたのが、『ミチムラ式漢字eブック』で、漢字について知り、言葉を広げていく部分でした。
例えば、「麓」という漢字。
難しそうに見えてもよくみてみると「林」と「鹿」でできていることに気づきます。
「鹿」もよくみてみると「比」という字が出てきます。
ミチムラ式漢字eブックをみてみると
右下の言葉、読めるか確認していると、
「鹿児島県」の読み方がうまくでてこなくても「馬鹿」がすらすら読めて大笑い。「鹿の子模様」について疑問が膨らみ、その由来を調べたり。
そして、ふっと眼にとまった「麒麟」という字。
麒麟という漢字を通して、「鹿」「期」「米」「夕」「年」と5個も復習できます。
お迎えに来てくださった保護者の方に自信満々と「麒麟」の書き方を伝えている様子が印象的でした。
さらに「まだれ」という部品の意味を確認し、使われている漢字も復習することができました。
結果、ニュースを見て読んで語る部分はできなかったのですが、ほっこりけどチャレンジングで楽しい学びの時間となりました。
印象的だったのは、6年間日本語教室で頑張ってきたお子さんたちの漢字を書こうとしてくれる意欲、書けるようになりたい、読めるようになりたい、わかるようになりたいという大きな意欲をバンバン伝わってくることです。
『ミチムラ式漢字eブック』そして、海外での漢字学習を楽にしてくれる小野ふじ子先生の『漢字リズム音読』の考え方は、そんな彼女たちの意欲を満たしていくのにピッタリの教材だと感じました。
4今後の課題
課題は色々とあります(例えば、見直しやすいようなまとめ方)が、今一番悩んでいるのは、学習の目標をどこに置くかという点です。
漢字検定
アメリカの高校生が受験するAP Japanese試験
日本語能力試験
など色々と選択肢があります。将来の選択肢としてどこを目指すのがいいのか。日本でも学んでみたいという思いもある場合、またもしかしたらいつか日本に戻る可能性がある場合、また、もしかしたら戻らないでそのままアメリカでの生活を続けるかもしれない場合、いろんな可能性を視野にいれつつ一つづつ調べてみようと思います。
何かアドバイスありましたら、よろしくお願いいたします!
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