日航123便墜落事故(事件)・第62回〜膨大な数の情報や言説がネット上で飛び交う中、明らかに間違っている3つの話
事故に対してあまりに思いや関心が強すぎるゆえ、自分も何かイッパシのことを申しておきたいという気持ちはわかる。だが、明らかに間違っていることを言うのはよくない。「しょせん、そなたらはこの程度の認識か」と、反対派の相手側(事故調査報告書派にせよ、反事故調派にせよ)から足もとをすくわれる危険がある。仲間の足をひっぱる危険がある。当人としては正しいことを言ってるつもりなのだろうが、おそらく、その論拠は? と訊ねたら、「いや、ネットに書いてあったから」としか答えられないだろう。精査の欠如。
●その1 「スコーク7700(セブンセブン)」がコクピットから発せられたら、自衛隊機は無条件で緊急発進しなきゃいけないなどという法律はない
そんな法律はない。以下が正しい。
聞けば、スコーク7700は、けっこうちょいちょい出されるらしい。パイロットからしたら、念には念の根回しということだろう。それを受けて、毎回、自衛隊機が発進していたらキリがない(そもそも公式発表でF-4ファントムは、スコーク7700発信後にスクランブル発進していない。法破りを公表するわけがない)。
●その2 群馬県上野村の上野小学校の生徒の目撃談を収めた文集『小さな目は見た』に、「ジャンボジェット(123便)を戦闘機2機が追いかけていた」などという記述はない
おそらく、青山何某の著作の影響と思われる認識の誤り。「大きな飛行機を小さな飛行機2機が追いかけていた(追いかけっこをしていた)」旨の記述はあっても、断定的に「ジャンボジェット」や「123便」を見たという記述はない。大きな飛行機がジャンボを指すのか、米軍の輸送機を指すのか、よくわからない(当時の小学生にそこまでの知識を求めるのは酷だ)。なにより、目撃時間と墜落時間の整合性がとれていないのが厄介。以下が正しい。
↓『ワタナベケンタロウ動画』最新回。12分30秒ぐらいより、その文集についての見解が語られる。
●墜落現場に最初に到着した米軍ヘリがあっさりその場をあとにしたのは、日本の空自ヘリが到着したからではない
そのような結論を述べている方が見受けられるが、退避したのは、横田基地の上官からの命令が出たからにほかならない。退避帰還命令がなければ、もしくは積極的な指示があれば、その場でなんらかの行動がなされたことだろう(人命救助がわずかでも成功したかはわからない)。退避したのは、現場レベルを超えた、上層レベルの間でなんらかの理由が生じたからとしか考えられない。