いまや男女双方から受け入れられた感のある“わがままボディ”という言葉。グラドルライター歴約30年の男がちょっと考えてみた。
“わがままボディ”という言葉をよく耳にする。グラドル界しかり、女性誌界しかり。ただ、自分的にはあんまり使った記憶がない。
なぜ、使わないかを考えると、言葉の定義がいまいち不明瞭だから……か? 人気巨乳グラドルなら、ほぼほぼ、誰でも当てはまる気がする。
グラドル界における目下の第一人者は、ぷにたん(能美真奈)さんだろう。その最上級とも言うべき“今世紀最大のわがままボディ”というキャッチフレーズにはまったく異論はない。大胆なレトリックとして、とても効いていると思う。
あらためて、自分が気になったのは、いつ頃からその言葉が使われるようになったのか? ということ。
磯山さんにしろ、井上さんにしろ、2000年代始めのグラドルブレイク時にそんな形容はいっさいされていない。あくまで、“個人的に、いまから考えると……”だ。
2010年代、水樹たまさんや山中知恵(ともえ)さんのイメージDVDのタイトルにその言葉を使用したものがあったはずだが、自分的に、とりわけ印象に残っているのが、ハロプロのソロ・アーティストの吉川友さんがそれを自認していたこと。その言葉をタイトルに取り入れたブログがスタートしたのが、2013年10月30日。
さらに歴史を遡り、ネット検索をかけていくとこんなのがひっかかった。
画像をからめての大喜利サイト『ボケて』の2010年7月のもの。
これを踏まえると、メディアで使われるようになったのはもう少し前、2008、9年頃だろうか。
と、ここで、芸能評論家の三橋りの氏に登場していただく。実に、氏によれば、“わがままボディ”の意味合いには揺れがあり、一筋縄ではいかない由。「定義の由来のひとつである“豊満”と“放漫”の関係性ですね。たとえば、くだんの吉川友さんは“わがままボディ”について、こう定義しているんですよ」。
なるほど、そう言われてみると、だんだん思い出してきた。自分の中で、一時、吉川説が頭に焼きつき、グラドル原稿には使えないと記述を避けていた、そうだったような? いや、記憶が望洋曖昧。
ただ、そう考えると、一時、土偶ボディでブレイクした水樹たまさんの作品に使われていたのは腑に落ちてくる。山中知恵さんのほうは、どういう意味が込められていたのか。
一方で、誰もが思うはずだが、「吉川さんのボディのどこがだらしなくて、ボヨンボヨンなんだよ!」。まるで、「まったく勉強してない」と言いつつ、テストでいい点数取るような感じじゃないか? と。
なるほど、目下の第一人者のぷにたんさんのボディは(最新スリーサイズは111-70-98)、2つの定義のいいとこ取り(ネガティブな文言は一切排除)ということで、その最新系ということなのかもしれない。キャッチフレーズも大胆なレトリックなどではなしに真に本気、と同時に本質を衝いたものという。
ネガティブなイメージが伴っているのであれば、以下のような実績など到底得られるはずがない。
Xのフォロワーが10万3千というのも証左のひとつ。その正当性、および正統性を如実に表している。
https://twitter.com/punitan0624
“わがままボディ”を語感まんまに単純短絡に受け止めてはならない、極めて含蓄に富んだ、奥深い言葉なのだ。