ロッキード事件とアメリカの陰謀史観について
山本七平の『「空気」の研究』という本を読んでいて、日本国内の「空気」について一般論を述べた側面と当時問題だったロッキード事件への時論の側面があったことがわかった。
ロッキード事件については田中角栄が対中親和路線をとったことによるアメリカの警告という陰謀史観がある。
しかし本当にそうか?アメリカは田中角栄という政治家をそれほど大きく捉えていなかったのではないかと思っている。アメリカにおける田中角栄はそれほど大きな政治家とは見ていなかったのではないか。
NHKで未解決事件を検証する番組をやっていたのだが、ロッキードを巡る資料は匿名でアメリカから極秘資料が東京地検特捜部に送られてきて捜査が進んでいったことが取り上げられていた。
どうも同時期にアメリカ議会でロッキード社を巡って別件の疑獄事件が取り上げられつつあったことが報告されていた。その別件の疑獄事件から目をそらすために生け贄として田中角栄の事件がリークされたのではないかという。
確かに当時はキッシンジャーによるアメリカ主導の対中融和があって日本は後追いしただけである。
アメリカにとっては属国みたいな日本の首相など失脚させるのには何の躊躇もなかったのではないか?