魂を救う文学
僕は大学受験に失敗して浪人生活を送っていた経験がある。将来どうなるかという不安と孤独感で大変辛い時期だった。
そんなとき救ってくれたのがドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』だった。
別にカラマーゾフの兄弟が浪人生の孤独感を慰めるようなストーリーではない。何やら長広舌を繰り広げる個性の強いキャラクターたちが登場するだけの小説だ。小説のテーマについてもよく理解できたわけではなかった。
だけど読んだらなんだかスッキリしたのだ。魂が救済された気がしたのだ。
人文学は何の役に立たないというわけではないのだ。