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鶴光太郎氏の『荷が重かった2%物価目標』論考について

2025年1月14日の日本経済新聞の経済教室のコーナーで鶴光太郎氏が『荷が重かった2%物価目標』という論考を載せている。12月の日銀による『多角的レビュー』についての論評である。

『多角的レビュー』では「期待に働きかける政策」が期待していた通りにはいかなかったと日銀自身が認めたことへ一定の評価をしつつ、鶴光太郎氏はそもそも「2%物価目標」自体が日本の経済システムには過大な目標だったのではないかと指摘している。

「2%物価目標」がそもそも過大目標だったということの根拠は、青木昌彦氏によって始められた「比較制度分析」という分析理論枠組みを元になされている。「比較制度分析」というのは経済学では珍しく日本人が提唱した理論モデルで、世界的にもユニークな議論として評価されているものだ。

「比較制度分析」についての解説は本投稿では手に余るが、ゲーム理論とダーウィンの適者生存モデルを組み合わせて日本の経済システムにも一定の合理性があり、アメリカ型の資本主義システムとはまた別の均衡に落ち着いたものと評価しているところに特徴がある。

貴人的には日本の経済システム上2%の物価目標が高すぎるという議論には一定の理解はできるものの賛同はしきれない。海外の物価目標が2%が大半なところに日本だけ0〜1%に設定するなど為替レートの誘導にやはり問題を残すのではないか。

ここ数年の日本はもはやインフレ期待が定着しつつある状態にあり、今度は物価を上げるためではなく物価を2%に抑えるという意味で物価目標を活用すればいいと思う。

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