マーケティング・リフト値について
こんにちは!
データアナリストのおおかみです。
今回は以前実業務で使用したリフト値について、自分の備忘録も兼ねてまとめていきたいと思います。
リフト値とは、マーケティングにおける重要な指標の一つです。
この記事では、リフト値の基本的な定義や計算方法についての解説をした後、今回私が使用した用途についてまとめています。
マーケティング担当者やデータ分析を行う方々にとって、リフト値の理解は必須ですので、参考にしてみてください。
リフト値とは
リフト値は、異なるもの同士の関係を評価するための指標です。
ここでの「もの」は、商品だけでなく、コンテンツや指標など、何でも評価対象にできます。
リフト値の計算式
たとえば、商品AとBの関係性を調べる場合を考えてみましょう。
この場合、リフト値は以下の計算式で算出することができます。
で算出することが可能です。
他にも、分子の部分を「併売率」、分母の部分を「買上率」と呼ぶこともあります。
リフト値を計算することで、2つのものがどれだけ関連しているかを判断でき、一般的にはリフト値が2以上の場合、強めの相関関係があると考えられます。
リフト値の活用事例(おおかみの場合)
今回は、「会員登録時における、商品の購入とそのサイト内の特定コンテンツへの接触に相関係数はあるのか」を調べるために活用しました。
コンテンツへの接触は、会員登録をした後、そのセッションで今回対象となるコンテンツのページを閲覧したかどうかで評価しました。
この調査を行った背景には、商品購入に至るユーザーの会員登録時の行動を分析し、新規会員に対するリマインダーやサイト内の改善策に役立てることを考えました。
検証・分析の流れ
調査と分析の手順は以下の通りです。
自社データベースから、新規登録した会員のリストを取得しました。
ユーザーの購買履歴に基づき、新規会員の中で商品を購入した会員のリストを取得しました。
これらの会員が会員登録時に接触したコンテンツのリストを、アクセス解析データから収集しました。
コンテンツへの接触の有無を、各会員ごとに01のフラグで示しました。接触があった場合は1、なかった場合は0です。
これらのデータを使用して、各コンテンツごとにリフト値を計算し、検証しました。
今回の調査では、サイト内にて会員の接触率が高いと思われるコンテンツを4つに絞り、重点的に分析しました。
検証したコンテンツは以下の4つです。
・特集ページ
・お気に入り機能
・カート機能
・会員マイページ
そして、それぞれのコンテンツに対するリフト値を計算しました。
リフト値を算出した結果
結果として、調査したコンテンツのリフト値は以下のようになりました。
コンテンツA(サイト内特集)のリフト値:1.09
コンテンツB(お気に入り機能)のリフト値:1.40
コンテンツC(カート機能)のリフト値:1.14
コンテンツD(会員マイページ)のリフト値:1.06
つまり、これらのコンテンツが商品購入と関連していることが示唆されています。
特に、コンテンツB(お気に入り機能)が最も強い関連性を示していることが分かりました。
重要なポイント!!
今回算出したリフト値には、2つの重要な注意点があります。
まずひとつめは、「有意差の判断ができない」ということです。
有意差は統計的な検定を行わない限り、リフト値だけからは評価できない要素です。
例えば、今回の調査ではコンテンツB(お気に入り機能)と商品購入の関連性が示されましたが、その関連性が統計的に有意であるかどうかは、リフト値だけでは判定できないため、慎重に判断する必要があります。
ふたつめは、「因果関係があるかは判断ができない」ということです。
リフト値は、2つの事象やデータの相関関係を評価する指標です。
相関関係は、一つの事象が別の事象と一緒に起こる傾向があるかどうかを示します。
しかし、相関があるからと言って、一つが他方を引き起こす因果関係があるかどうかは判断できません。
因果関係は、一つの事象が別の事象を直接的に影響する関係を指し、統計的には証明が難しいことがあります。
リフト値は相関を示す有用なツールですが、因果関係を明確にするには追加の研究やデータが必要です。
まとめ
リフト値についての要点をまとめます。
リフト値が1以上の場合、通常は関連性がある可能性が高いとされています。ただし、統計的な有意性を示すものではなく、単なる指標の目安です。
リフト値が1を超えると、関連性の存在がより強く示唆されますが、これだけから相関関係が確定するわけではありません。また、因果関係を示すものでもありません。
リフト値は相関関係を評価する指標であり、施策を打つ際の目安として有用です。ただし、絶対的な因果関係を証明するものではないことを理解して活用することが重要です。
リフト値はデータ分析や施策立案に役立つツールであり、PDCAサイクルを回す一助となるでしょう。
注意しながら適切に活用し、意思決定のサポートに役立ててみてくださいね!
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