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昭和の香りがするカプセルホテルに泊まった【高松旅行】

 最近は日常の暮らしに飽きてしまうことが多く、刺激を求めて頻繁に旅行に行っている。今回は10月の3連休に関西から香川県に電車で旅行したので、その旅行記を書く。

 関西の某駅から、山陽本線の電車に揺られること1時間半くらい、土曜日の昼間に相生(あいおい)駅についた。相生駅から岡山駅に向かうには2つのルートがあり、普通は所要時間の短い山陽本線ルートを使うのだが、今回は暇だったので、海沿いをゆっくり走る赤穂(あこう)線ルートで行くことにした。時折海の景色が見えて車窓がきれいだった。

 岡山駅に着くと、駅のあちこちのスピーカーから楽しいメロディーが聞こえてきた。ここ岡山駅では、路線ごとに違う駅メロディーが採用されており、しかも首都圏や関西のメロディーよりもたっぷり長めに流れる傾向がある。私は発車メロディーが好きなので嬉しい。

 香川県の高松へ向かうため、快速マリンライナーを待っていたのだが、マリンライナーの電車が入ってくる間はずっと「瀬戸の花嫁」の曲が流れていた。ちょっと香川に旅行に行くだけではあるが、瀬戸内海を渡る電車に乗るときに聞く「瀬戸の花嫁」のメロディーは感慨深く感じられた。

 本州最後となる児島駅では、JR西日本の乗務員がJR四国の乗務員に交代し、いよいよマリンライナーは瀬戸大橋にさしかかった。途中にいくつかの島があり、複数の橋が連続しているので、じっくりと夕焼けに染まる瀬戸内海の景色を見ることができた。私は旅行に限らず、こうやって夕焼けを見て たそがれる時間が好きだ。


瀬戸大橋からの見える島々

 瀬戸大橋を渡り終えると、30分くらいで高松駅に到着した。愛媛・高知・岡山からの列車(予讃線の列車)と、徳島からの列車(高徳線の列車)が来るのだが、全部の列車が同じ方向を向いている頭端式ホームなので、私鉄のターミナルのような雰囲気である。高松駅周辺は再開発がすすんでいて、駅から降りてすぐだと、大阪のビル街に来たような感じさえする。

高松駅

 香川県に来たからには、昼も夜もうどんが食べたいと思い、Googleマップで夜18時以降も開いているうどん屋さんを見つけて、そこに向かった。

 いざうどん屋さんに入ってみると、若干クセの強い店だった。店長が店員をかなり大きい声で怒鳴っていた。私は店員が怒鳴られている店はあまり好きではない。というのも、自分もバイト時代にポンコツ店員だったので、怒鳴られている店員を見ると自分を見ているように思ってしまうからだ。
 しかも、その店のメニューには若干不自然なところがあった。トッピングのついたメニューよりも「さぬきうどん」のほうが異様に高かったのである。「さぬきうどん」は香川に観光に来るよそ者が頼むメニューだから、おそらくよそ者には少し高く払ってほしいということなのだろうと思う。

 うどん屋さんを出たあと、高松の商店街をぶらぶら歩いた。商店街の中にゲーセンがあったので、中に入ってみると、アーケードのぷよぷよ通がおいてあった。Switchでも同じものが遊べるのだが、やはりブラウン管の筐体で遊ぶとレトロゲームで遊んでいるという実感が湧いて面白い。プリミティブな絵柄がより一層プリミティブに見える。

 ゲーセンのあとは、レコードショップに寄った。著名なボカロP・DECO*27の「愛迷エレジー」のアルバムが売っていたので購入した。自宅に帰ってからプレイヤーで聞いてみると、モザイクロールとか、弱虫モンブランとかの、DECO*27の曲のなかではしんみりした感じの曲がたくさん入ったアルバムだった。偶然いいものに出会えたと思う。

 そんな感じで高松を歩いていたのだが、高松の街は不思議な安心感を私にくれた。不思議と自然体でいられるような感じがした。私は人の多いところは苦手なのだが、人の全くいないところも孤独な感じがして苦手なので、適度に人のいる空間が好きだ。高松はそういった人間が散歩するにはとても良い街なのだろう。

昭和スタイルのサウナ・カプセルホテル施設

 さて、夜の散歩を終えると、私はYahoo!トラベルで適当に予約したカプセルホテルに向かった。予約したときは気づかなかったのだが、このカプセルホテルは、昭和の香りを色濃く残していて面白かった(まさにタイムカプセル!)。

 どうも宿泊よりもサウナと入浴が主体の施設らしく、サウナでリラックスしたあと眠たくなったらついでに宿泊もできるようだった。男性専用の施設で、お客さんの多くは高齢の男性だった。この日は連休ということもあり、ほぼ満室に近かった。 
 館内はタバコのにおいが充満していて、漫画コーナーの漫画本はかなり年季が入っていた。カプセルの中にはテレビがあり、アナログにチャンネルを合わせるといつでもアダルトな映像が見られるようになっていた。遊戯コーナーに行ってみると、夜な夜な高齢の男性たちが麻雀で遊んでいた。私は平成生まれで昭和を知らないけれども、昭和から時間がとまっていればこんな感じなのではないかと思った。

 エレベーターを待っている際に、よく利用するというおじいさんが私に話しかけてくれた。「家は近いんだけどさぁ、家だとよく眠れなくてね。よく泊まりに来るんだよぉ」とのことだった。この施設は、高松に住む高齢男性たちが羽を伸ばせる、オアシスのようなところらしい。それにしてもおじいさんが自分の家で眠れないのはなぜなのだろう…

 なお、肝心のサウナであるが、私はサウナが熱くて苦手なので、10秒ほどで出てしまった。私が就活をしていたとき、グループ面接で「趣味はサウナです!」という人をよく見かけたが、あれは忍耐力のアピールだったのかもなあと感じた。私にはサウナでしばらく座っているということがとんでもなく苦痛に感じられる。

 翌日はことでんに乗ってこんぴらさん(金刀比羅宮)に行き、翌々日は岡山に戻り、倉敷美観地区を散歩した。

ことでん

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