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まだこんなにも残る

昨日の寒い朝のこと。

いつもは車で通り過ぎるだけの
道路と施設に沿うようにある公園で
娘が隠れんぼをしていた。

学校が嫌で、どうしても入れなくて
車の中から飛び出して行った先に、その公園があって。

すぐに追わず、目で見届けた後に、先生と連れ立ってその公園に向かった。

ぱっと見て、目で探せる場所にはおらず
死角になっている階段と階段の壁の間に
座り込んでいた。

寒い場所に、どうしていきたがるだろう。
胸が痛くなる風景へと、どうして溶け込んでしまうのだろう。

ふと見れば
縦長の公園の真ん中に、
光りそのもののような
銀杏の木があった。

今はもう、どこもかしこも葉は落ちてしまっていることが多い。

けれどここは
まだ
こんなにも残っている。

暗い場所を探していたはずの娘の目に
この木は視えていただろうか。


もがいて、もがいて
どうしようもなく
ちっぽけな自分に嫌気がさす。

変わりたい、と
だから思うのかもしれない
変わりたい、と
思う気持ちが
その決断をさせようとしているのかもしれない

もし、残るものがあるのなら
それはなんだろう。

散り積もる葉に
そっと問い掛けてみるのだけれど。

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