ふぅ

ねこがすき。 ことばにできなかったことを少しずつ整理しています。 いま感じた想いを、少…

ふぅ

ねこがすき。 ことばにできなかったことを少しずつ整理しています。 いま感じた想いを、少しだけ加えて。

最近の記事

いとしきもの

ゆびの ひとつ ふたつ ないてのひらの いとおしさを 知っていますか ゆび と ゆびの 溝は 浅く て と て を 添えるときの まるで 神さまに祈るかのような 願いのひととき 何ひとつ(わたしたちと) 何ひとつ(わたしたちと) 変わることのない ての ぬくもりを 知っていますか この いとおしさを

    • 書けない返事

      言い返そうと思えば できなくもない。 「それは違う」と言えば それで済むことだから。 だけど、そう伝えたとして 理解してくれることに繋がるかと言えば、 必ずしもそうじゃない。 だから、ここしばらくは そのことをぼんやりと考えている。 長く、生活をしてきたけれど わたしが理解するように彼に理解される (理解してもらえる) と、言うことは ほぼほぼなかったと言うこと。 「お互いを求める」 恋愛において互いにそうであるはずの その感情が わたしにはなかったと言うこと。

      • 折るということ

        どうしようもなくなってしまうこころを 落ち着かせようと、手を動かす。 折って、折って。 また、折って。 はじめのうちは 何故なのだろう、と あったことや話したことをぐるぐると考えているのだけれど 縦、横、斜め、と 折っていくうちに いつの間にか折ることだけに集中している自分に気がついてくる。 その後は、少し疲れて 今みたいに、座椅子にもたれ ぼんやりとしている。 折ることは結構疲れる。 疲れるんだけど嫌いではなく むしろ好きなんだなと思う。 本当はものすごく、不器用な

        • 内なる子ども

          インナーチャイルド そう呼ばれる 自分の内側にいる小さな子ども 誰しもこころの中には いるのではないか そう思う わたしの中の小さな子どもは 実際にはそうではないのだけれど 膝を抱えて 足先を上げているかと思えば つけて 揺り椅子のように揺られている そうして時折、 膝の間に 顔を突っ伏しているのだ 何かに顔を上げても どこかを見ているようで 何も映していない だからなのかしらね 何も憶えていないことが多いのは けれども不意に 頭の中に浮かぶものがあって それが 内なる子

        いとしきもの

          髪を切るということ

          長い間、髪を切ることが出来なかった。 その理由として パートナーが、長い髪を好きだったということがある。 髪を切りたいのだと伝えると 大きな声をあげて嫌がった。 それでも、その声を振り切るようにして髪を切ることもあった。 怒ることはなかったけれど 見るたび、吹き出しては笑われてしまうことが とても嫌だった。 切った髪が長く伸び始めいつもの長さに戻ると 義母から 「あんたは長い方が似合う」 と、言われ 実母にも 「短い髪は似合わない」 と、同じことを言われていた。 けれ

          髪を切るということ

          春はもうすぐ

          通る車の 雨を弾く音を、部屋の中で聴いている。 大概の高校では 卒業式が行われているであろう日。 うちにもひとり、いるのだけれど。 普通に、誰もが通り過ぎてゆく物事を 同じように進むことをよしとしない娘と 朝から対話を重ねている。 決めつけるでもなく ありふれた言葉に置き換えるでもなく 言葉にならない言葉はあるよねと その想いを 噛み締めるように 抱き締めるように 虚空に離す。 そうやって 何もない部屋の片隅を見つめ ない言葉の重みの中で揺蕩う。 雨のせいだろうか。

          春はもうすぐ

          娘の帰った後に想うこと

          娘が帰った後 娘の、「これから」を考えてしまう。 (ひとりで寂しくはないのだろうか) (今のままでこの先を過ごすのだろうか) そんな答えのない問いを繰り返してしまう。 (順序としては)いずれわたしが先にいくのだから 考えても仕方がないのだと知りつつ これから行く末を案じてしまう。 顔も、性格も、父親にそっくりなのだとずっと思っていた娘の 実は一番自分に似ていたことに ここ最近、ようやく気がついたのだった。 見えなかったものは、見ようとしなかったもので。 表面的なもの

          娘の帰った後に想うこと

          手のひらの言葉

          フードコートの外れで 父親らしき人が誰かを待っているそばで、幼い子どもが笑顔で遊んでいた。 お店の宣伝の為に貼ってあるポスターや展示物に触れては、くるくるとその場で回り楽しそうに笑っているその子を、私は、少しだけれど知っていた。 少し前まで勤めていた保育園にいたお子さんだった。 懐かしさが込み上げてくる。 受け持つクラスも違っていたし、辞めてからひと月と少し過ぎたこともあって、混乱させてしまうかもしれないと思い、声はかけず、遠目に眺めていた。 ふと、目が合った。 そ

          手のひらの言葉

          年の瀬に

          年の瀬に 住み慣れた土地から 遠く離れた場所で 舞う雪を見る 寒い だけど 不思議とあたたかく感じる 歩いて 歩いて 立ち止まると 痛み始める足 歩いた分だけ 前に進めたのかしら わたしは わたしに なれたのかしら やりたかったことは ただ 逃れたい一心のものだったのかもしれない だからきっと なにもかも わからなくなってしまっていたのね 踏みだす怖さと 立ち止まる怖さは 比べようもなく どちらも身がすくんでしまうのだけれど そのうちに 慣れるようになってゆ

          年の瀬に

          クリスマスプレゼント

          私に、真っ先に気がついたのは、Aちゃんと言う女の子だった。 大きな目をキラキラさせながらそばに寄って来る。 見上げるように顎を少し上げて、ふふーっと笑った。 先生、来るの遅かったね。 そう言葉にした後で、顔をくしゃくしゃにして微笑んでいた。 来てくれるかな?と、躊躇いながら両腕を広げると、待ってましたと言うように飛び込んでくる。 11月末に退職をしてからも、私が来るのを こんなふうに待ってくれていたのかしら。 先生、来るの遅いよって。 ここに来たばかりの頃は、まだ一

          クリスマスプレゼント

          凍えたままの

          いつの頃だったか 気がついてしまったことがあった。 その頃は 必要とされていることが嬉しくて。 わたしじゃなきゃダメなんだって思うことが、 ただただ嬉しかった。 けれど、気がついてしまった。 そうすることで しないでもよくなっていた ということに。 それに気がついてからは 何もしなくなった。 何もしなくなったというと、少し語弊がある。 自らしなくなったというよりは 何にもできなくなったという方が正しい。 力が抜けてしまったのだと思う。 今まで必死にやってきていたも

          凍えたままの

          まだこんなにも残る

          昨日の寒い朝のこと。 いつもは車で通り過ぎるだけの 道路と施設に沿うようにある公園で 娘が隠れんぼをしていた。 学校が嫌で、どうしても入れなくて 車の中から飛び出して行った先に、その公園があって。 すぐに追わず、目で見届けた後に、先生と連れ立ってその公園に向かった。 ぱっと見て、目で探せる場所にはおらず 死角になっている階段と階段の壁の間に 座り込んでいた。 寒い場所に、どうしていきたがるだろう。 胸が痛くなる風景へと、どうして溶け込んでしまうのだろう。 ふと見れ

          まだこんなにも残る

          荒城の月

          朝早くから目覚めてはいたものの 布団から出られず目を閉じる。 次に目を開けると 2時間ほど時間が過ぎていた。 服を着替えて 洗濯物を集め、洗濯機をまわす。 その間に 電子ケトルに水を入れて、スイッチを入れる。 湧いたばかりのお湯を少し冷ましてから、朝の薬を飲む。 今回の漢方薬はさほど苦くはない。 なので飲むのも、前ほど苦にはならない。 よく夢を見ることと落ち着かないことが時々あること。 ここひと月、酷い便秘があること。 それらの症状に合わせて2つの漢方薬を出してもら

          荒城の月

          シュークリームとおからと

          ここ最近 外出といえば車に乗ることが多い。 行きたいと思うコンビニとうどん屋さんとは逆方向にあって、車で行けば楽だし、寒くない。 しばらく悩んだ後、私は自転車の鍵を手に取った。 わずか数段の階段をおり 自転車をついて外に出ると、 日はもう沈んでいて 月と星が光り始めたばかりの 淡い、夕の空があった。 こんな空を見上げるたび 「何て言う色になるんだろう」 調べれば多分 それらしき色は出てくるけれど しっくりとくる色を その中に見つけることができない。 何色という枠に

          シュークリームとおからと

          歩きながら思うこと

          駐車場に車を止めて 近くのコンビニで カフェラテのLサイズを買った。 それなのに、Rのボタンを押してしまう。 「あ…」 と思ったけれど まぁそれはそれでいいかと考え直した。 少し大きめの紙コップに、3分の2ほどで抽出が終わる。 歩くから丁度いい。 少し寒い朝の かじかむ手を温めながら 川沿いにある神社へと歩き始めた。 信号待ちをしながら いつもはあっという間に車で通り過ぎる場所。 古ぼけた看板、錆びついた自転車 シャッターの閉まった店 からまる蔦 そんなものを見て

          歩きながら思うこと

          輝く木の下で

          木はいつもそこにある。 あたり前のことなのだけど 余程のことがない限りそこから動くことはなく 向こうからきてくれることもない。 同じ名前の木を見て あの木を想う。 あの木を想いながら 目の前の木を見ている。 あれから何年が経ったのだろう。 小さな神社の境内に 一本の銀杏の木があった。 大きな木だった。 山側にあって 日の陰る時間の早い場所で 夕暮れ時から夜になるまでの間 そこで光り輝いていた。 その木を見るのが とても好きだった。 今はもう 通りすがりに眺めること

          輝く木の下で