そよ風ふわり、心はらり。
コンビニで買ったお昼ごはんを持って会社の外に出ると、近くの商業施設の前にあるテラススペースへと向かう。
これまでほとんど社内でお昼ごはんを食べていたところを外で食べるようになって、今日で4日ほどだろうか。
お日さまの光を浴びると、それだけでしおれていたこころが少しだけパワーを取り戻したような気がしてくる。
頬を撫でる風も柔らかく、心地よい。
仕事のことをつかの間忘れて、伸び伸びと過ごすことができるお昼休みの1時間。
とてもとても、貴重な時間だ。
***
前の職場でされていたそれは、明らかな嫌がらせだった。
あいさつをしただけで睨まれたり、してもいないミスをでっち上げられて怒られたり。
そういう目に見えた悪意に晒されていたからこそ、今の会社での人間関係において感じているモヤモヤは、程度で言えば取るに足らないものなのだとよく分かる。
人間、誰しも合う合わないがあるし。
あの時ほどひどいことをされているわけでもないし。
そんな風に痛むこころを見て見ぬふりして、どうにかごまかして業務をこなしていた。
———だけどやっぱり、痛いものは痛い。
太陽の光と吹き抜けるそよ風にこころをほどかれると、目を背けていた傷の痛みももれなく主張を始める。
けれど、それと同時に、痛くてもいいんだよ、転んでもまた起き上がって歩き出せば大丈夫、って思えるような気もしてくる。
日の光の当たる場所へ、こころを逃がして休ませることができているなら、それだけできっと大丈夫。
活力を少しでも取り戻せば、きっと午後からもまた頑張れる。
そうやって、日々少しずつ、こころを強くしていくのだ。