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人間のフリをしているわたしたちは。


人間みたいで人間じゃない生き物がいる。

大人たちって大半そうじゃないか?

いや、大人も子供も関係ないか。人間のフリをした『悪魔』。目に見えないような小さな毒を孕んだ言葉を相手に投げつけてじわじわと追い詰める。
獲物にされた当の本人が気付いた時にはたくさんの痛みが散り積もって動けなくなってるのだ。

だけどそもそもわたし達はその行為に気づかないフリをして生きてる。本能的に。
そう、それは被害者も加害者であっても。

意味がないじゃないか、それじゃ。世界のあり方に問いを投げたって返ってなんかこないしさ、

なんてことを鬱々考えていると、
ふと名前を呼ばれハッとすると数学教師の冷たい睨みつける視線が突き刺さった。

「おいちゃんと俺の話きいてるのか。二番の問題、溶けているんだろうな?」

「す、すみません出来てないです」

突然声をかけられて驚いたのもあるが、一気に注目の的となり羞恥に少し上ずった声がうわずった。
授業を聞いてないやつや机の下でケータイを触ってる人だっていたのに。
なんでわたし。わたしじゃなくったっていいじゃないか。

当てやすそうなんだろうな。きっと。
文句も言わないし。大人しいし。

教師だけじゃない、クラスメイトだって。

わたしみたいな人間はカースト上位の人間にマウントを取られ、搾取される。

少し俯きながら
嫌いな数学の教師を心の中で罵詈雑言の嵐を浴びさせた。授業なんてこの先何の役に立つかもわからなくてただ漠然とした未来を上手く想像することもできずため息をついた。

あぁ、生きづらいな。

今日もわたしもきっとわたしだけじゃないみんな人間という生き物のフリをするのだ。



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