お試しプランに誘われて
僕の根底には、お試しでたくさん試した先に、自分にぴったりだと思えるものが現れるんじゃないかという気持ちがある。
最近は何かと言っては、始められることが多く、いわばお試しプランのように多くのことに触れられる。
2週間プラン、1か月プランと言った形で、丁度よい長さで体験させてくれる。
なんとなく目につくと、ついつい誘われてしまう。
お試しというのは本当に適度でいい。
難しいことや面倒なことは絶妙に隠されて、楽しい部分だけを感じることが出来る。
そして、程よく楽しみ満足したところで、お試しは終了となる。
しかし、そこからが続かない。
なんとなく楽しみ方は知れたし満足もできたけど、ぴったりと言えるほどではなかったな。
ほかにはどんなものがあるんだろう。
そんな気持ちが押し寄せる。
周りを見れば、またたくさんのお試しプランが目の前に現れる。
あらゆることが細分化されている現代だから、この先お試しプランがなくなることはないだろう。
「自分にぴったりのもの」という極めて曖昧なことを軸に進んでいるのも相まって、無限に自分探しが続いてしまう。
新しいことを始めたら何か良いことがありそうだという誘惑は一体いつまで続くのだろうか。
どこかに腰を据えられるなら据えてしまいたい。
新しいことを試して何かを吸収するには限度がある。
一時的な楽しさは得られるかもしれないが、後で振り返った時に思い出せるほど記憶に残らないだろう。
考えてみると、今でも思い出せることというのは長く続いている、あるいは続いていたことだ。
何か特別なことがあったわけではないけれど、なんとなく続けていたことほど記憶に残る。
もしかすると、覚悟して腰を据えて何かをしなければいけないということはないかもしれない。
今目の前にあることをやめないようにしてみる、それだけを続けていけば記憶に残る何かになるのかもしれないなと思う。
お試しの誘いも楽しいけれど、始めてみたらやめずにのんびり続けてみたい。