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「大島の海や魚のすばらしさを、子どもたちに伝えていきたい」ーー大島漁業協同組合・中谷航平

こんにちは、地域おこし協力隊の張本です。おおいの人へのインタビュー第5弾のお相手は、大島漁業協同組合(以下、大島漁協)に勤める中谷航平さん。取材のなかで「大島の海や魚のすばらしさを、子どもたちに伝えていきたい」と語っていた中谷さんの想いや、大島漁協の取り組みについて書いていきます。

中谷 航平(なかや こうへい)
1991年生まれ、福井県おおい町大島出身。関東の大学を卒業したのち、おおい町の社会福祉協議会 へ。その後、大島漁業協同組合に入り、購買業務やイベント企画、経理、広報など、幅広い業務に携わっている。

漁師と町のパイプ役

―さっそくですが、大島漁業協同組合ではどのような取り組みをされているのかお聞きしたいです。

大島漁協は水産資源、漁業権の管理や漁家経営の安定、地域の活性化の推進、 そして組合員さんの困りごとや相談ごとを聞いて、漁師と町をつなぐパイプ役も担っています。

例えば、最近だと燃油や餌代が高騰しているので、その実情を漁師さんから聞き、町の担当者や議員の方に相談をしています。すべての困りごとを解決できるわけではないですが、まずは漁師さんの声を届けることが重要だと思っています。

―大島漁協では、魚の卸しも行っているのですか?

魚の販売に関しては、すこし複雑なんです。大島漁協は競りの機能を有していないので、大島で獲れた魚は一旦すべて小浜の市場に運ばれます。そこで大島漁協ではなく一般社団法人おおいの魚屋(以下、おおいの魚屋)という会社が、小浜の仲買さんに手数料を払い、手に入れたい魚を競り落とす。

その過程を経て、サニーマートや道の駅うみんぴあで魚が販売され、みなさんの食卓に届いているんです。僕たちはそこで漁師さんやおおいの魚屋のサポートを行う関わり方をしています。

―そうなんですね。魚の販売をされている印象があったので、すこしイメージが変わりました。

実はさまざまな活動をしているんです。ふくいサーモンの水揚げをしたり、魚の種苗の放流や魚礁の設置をして漁場を整備したり、共済事業や利用事業を行っていたり、説明すると切りがないくらい。

ただ、いつか、大島漁協が競りの機能も持ち、おおい町で競りの市場ができたらと願っています。現状だと、おおい町で競りができないから、大島産の魚であっても小浜産として町外では広まってしまう。それは僕たちも漁師さんにとっても悲しいことなので、将来的に実現していきたいです。

大島のよさを繋いでいきたい。

―中谷さんは大島漁協で働きはじめて、どれくらいになるのですか?

今年で6年目ですね。大学を卒業してから社会福祉協議会で3年ほど勤めたのち、大島漁協で働きはじめました。

―大学は町の外に?

関東の大学に通っていました。中学生のときまで大島に住んでいて、福井市の高校に通い、そのまま関東へ。都会に住んで感じたのが、遊ぶにはいい場所なのですが、仕事と私生活の両立を考えるとやはり地元がいいなと。帰省するたびに、漁師である親父が獲った新鮮な魚を口にしており、地元の圧倒的な「食」の豊かさを感じていたことも影響したのだと思います。だから、大学卒業と同時におおい町に帰ってきたんです。

―魚、本当においしいですよね。中谷さんは、大島漁協ではどんな仕事をされているんですか?

大島漁協では主に購買事業を担当しています。オイルや資材など、漁業に使う道具を仕入れて漁師さんに販売する事業です。他にも、大島の海のよさや魚のおいしさを広げていく普及活動を行っていたり、おおいの魚屋の経理やイベント出店の業務を任されていたり、幅広い仕事に関わらせてもらっています。仕事の内容が日々違うことは自分に合っていて、毎日が新鮮で楽しいですね。

―さまざまな業務に携わっているのですね。今後より注力していきたいことはありますか?

まずは、子どもたちに大島の海のすばらしさや魚のおいしさを伝えていきたいですね。

―「大人」ではなく「子ども」にですか?

自分のなかで「子ども=未来」だと思っているんです。僕自身、先輩たちの影響で海のよさに魅せられたから、こうして大島にいます。他の地域にはない体験があったから、ここまで海に関心を持ち、人生の転機となるような就職にまで結びついている。だから、僕も、子どもたちが将来町を離れたとしても、いつか戻ってきたいと思える、戻ってこれる環境を整えたいですね。

―とても素敵な話ですね。大島漁協では、子どもたちとよく接点を持たれているんですか?

他の地域と比べても多いほうだと思います。ちなみに、大島小学校に行かれたことはありますか?

―何度かお邪魔させていただきました。

入り口に大きな水槽があるでしょう。あの水槽は大島小学校の建設当時からあり、泳いでいる魚は漁師さんが獲ってきています。そうして小さい頃から、海や魚が身近にあるので、生活の一部に溶け込んでいるのだと思います。

他にも、丸木舟や地引き網などのさまざまな体験学習や東京の葛西臨海水族園から講師を招いた出前授業、学校給食での海産物の提供など、子どもたちが海や魚に触れる機会を作りつづけています。

―そうして、次の世代にも大島や海のすばらしさを繋いでいるんですね。今日はたくさん教えていただいて、ありがとうございました。

いえいえ。11月はカニの時期なので、ぜひ食べてみてくださいね。

編集後記

大島には水産業に従事している若者が多いらしい。20代、30代が20名近くおり、他の地域からはよく「大島は若いよなぁ」と羨まれるとのこと。その状況があるのは、中谷さんのような人たちがずっと子どもたちに働きかけ、バトンを渡して世代交代をしつづけてきたからなんだと、取材を通じて想像できるようになりました。海のことを教えていただき、ありがとうございました。

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