「暮らしの複合施設hibi」を、佐分利で立ち上げた背景と実現したいこと。
こんにちは、地域おこし協力隊の張本です。
2023年1月にオープンし、今月で一周年を迎える「暮らしの複合施設hibi」の代表・岸崎圭薫さん(以下、岸崎さん) を取材しました。今回のインタビューでは、岸崎さんの多岐にわたる活動を尋ね、岸崎さんの原動力とは何か。おおい町に対してどういう思いを抱いているのか。「少しでも足しになればいい」と謙虚に話す、岸崎さんの挑戦について書いていきます。
これまでの活動と危機感
――岸崎さんの経歴を最初に伺ってもいいですか?
佐分利地区の万願寺で育ち、高校を卒業するまで町内に住んでいました。卒業後には大阪の専門学校で建築を学び、そのまま工務店で5年ほど働いてから25歳の頃におおい町に帰ってきたんです。そして、岸崎工作所に入り、10年ほど前に社長を務めていた父親の後を継ぎました。
また、地元のメンバーと協力して合同会社グッドモーニングを立ち上げ、昨年1月から「暮らしの複合施設hibi(以下、hibi)」の経営にも携わっています。
――事業だけでなく、岸崎さんは地域の活動にも参加されている印象があります。スーパー大火勢の実行委員長を務めていたと聞きました。
おおい町に帰ってきた頃に「岸崎工作所の次期社長を務めるなら色々な活動に関わったほうがいい」と先輩方にアドバイスいただいたので、商工会の青年部やスーパー大火勢の実行委員会などに参加していたんです。その流れのなかで、スーパー大火勢の実行委員長を務めたことがありますね。
――色々な活動に関わられてきた岸崎さんは、おおい町をどのように見ているのか聞いてみたいです。
おおい町は財政が安定しているから、インフラが整備されていて、子育ての支援も手厚い。それは非常にいいことですよね。雪が降ったら除雪車が走り、町の通信や上下水道がほぼ全域にわたって完備されています。この人口規模で、これほどサービスが充実している町は多くないと思うのです。また、都会の人からは「山もあって、川もあって、海もあるの最高やん」と言われることもあるので。
ただ、子どもたちが大きくなった頃にどうなっているのか心配です。人口はどんどん減っており、空き家は増えています。今は財政が安定していても、将来的にはどうなるのかわかりません。
もちろん、現時点でも課題を感じることはあります。集落の高齢の方は免許を返納してしまったら、買い物するにも相当な不便を感じています。佐分利は山の奥にあるから、移動販売車を除けば近くで買い物できる場所がないのです。自分に何ができるのかはわからないのですが、「なんとかしないと」と危機感を抱くことは多々あります。
暮らしの複合施設hibiで実現したいこと
――昨年、佐分利で暮らしの複合施設hibiをオープンされましたよね。岸崎さんの危機感はそうした活動にも繋がってくるのですか?
hibiは、ある古民家の解体を依頼されたのが始まりでした。その古民家は建物自体が町史に載っており、およそ230年前から存在していました。石山城との関係性があるので家系自体も戦国時代より前からあったのかもしれない。そんな歴史ある建物を壊すことはできないと思い、3年ほど待ってもらいました。そして、集落のなかでは迷惑をかけてしまうので県道沿いに移築し、その古民家を活かして2023年1月18日にhibiをオープンさせました。早いもので、もう一年が経ちます。
――どのような一年間でしたか?
佐分利の文化や歴史を共有したり、都会と田舎の交流が生まれたり、そうした場をつくろうと立ち上げましたが、まずは地元食材を活かしたカフェやランチ、ディナーの運営に注力した一年となりました。月日を重ねてきたことで、ようやく慣れてきたかなと思います。
小浜や高浜、舞鶴、敦賀、名古屋からも人が来てくれたことも良かったですね。また、店内には福井の若狭塗箸や漆器、雑貨、ハンドメイド作品などを扱っているので、大切な人への贈り物を探しにきてくださる方もいます。
「hibiを営業することで、このまちを何とかしたい」なんて大それたことは言えませんが、少しでも何かが生まれて、足しになればいい。そのためにもまずはhibiにもっと人が集まる状況をつくり、交流が生まれる拠点になれるよう頑張っていきます。
――今後の活動応援しています。またコーヒーを飲みにきますね!
ありがとうございます。いつでもお待ちしています。
取材・執筆:張本 舜奎
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