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ミュージカル『Fate/Zero』~The Sword of Promised Victory~を「演劇」として楽しみたい方へ 第三弾『魔術師たち(後編)』

こんにちは!
ミュージカル異端児の伊佐旺起です。

今回も、ミュージカル『Fate/Zero』~The Sword of Promised Victory~を、存分に楽しんでいただけるための記事を執筆しております。

第三弾ということで、前回の魔術師続編!
時計塔の魔術師ケイネス、その教え子ウェーバー、冬木市の猟奇殺人鬼・雨生龍之介について。

時計塔の天才魔術師

時計塔とは、ロンドンにある魔術協会の総本部です。まあ、大体こういうところは、内部闘争でぐちゃぐちゃしてますよね笑
その時計塔で、鉱石科の講師を務めているのが、天才魔術師ケイネス・エルメロイ・アーチボルトです。
肩書きも凄くて、「エルメロイ家の当主かつ九代続く魔術師の名門・アーチボルト家の頭首。」とあるのですが、なんのこっちゃ。まあ、とにかく地位も名声も盤石の魔術師なんですね。

伊藤裕一、扮するケイネス

彼には婚約者がいて、降霊科での恩師の娘、ソラウ・ヌァザレ・ソフィアリ。どうやら一目惚れらしく(こういう天才肌って惚れやすいんですよね笑)、なんとも尻にしかれてる姿も少し滑稽。ですが、魔術師同士ということもあり、支え合える関係性なんだろうな、と思いますよね。
そんな関係こそが、こういった世界線では仇となっていくのでしょうか…

ケイネスは、ランサーを召喚しますが、もともとは違う聖遺物を持っていました。
あ、聖遺物ってワード初めて出ましたね。聖遺物とは、英霊がかつて残した遺産の一部です。セイバーであれば、刀剣の鞘、など。
ケイネスが用意していた聖遺物は、征服王イスカンダルのマント片。そう、ウェーバーの召喚したライダーの聖遺物だったのです。それが、何故ウェーバーのもとに渡ったのでしょうか…?

未熟者ウェーバー

19歳の青年ウェーバー・ベルベットは時計塔の学生で、ケイネスの門下生でした。
ウェーバーは歴史の浅い家柄の魔術師で、名門に対するコンプレックスがあったり、少し卑屈なところがあります。

平松來馬、扮するウェーバー

決定的な瞬間は、ケイネスに論文を嘲笑された日のこと。管財課より、ケイネスに渡してほしいと託された手荷物。なんと、ここにライダーの聖遺物が入っていたのです…!腹いせもあってか、まあ、あとは野となれ山となれ。聖遺物片手に冬木市へ単身渡航。見事令呪を発動し、「第四次聖杯戦争」へと身を投じていくのです。

19歳なんて、まだまだ人間としても未熟で、何かを託され抱え、身を投じるなんて、現代っ子にはなかなかハードなことですよね。ウェーバーも、時計塔で形成された自己が、少しづつ、ライダーや他の参加者と関わることで、変わっていくんですね。人間の成長って、本当に絶好のドラマなんですね。

瀆神と殺人論

そんな人間ドラマは、常軌を逸したドラマとしても描かれています。
冬木市を震撼させている猟奇殺人者の雨生龍之介。初めての殺人は、聖杯戦争5年前の実姉。それから各地を転々とし、証拠隠滅、捜査撹乱はお手のもので、連続殺人を繰り広げていました。やはり、血筋に残された魔術師の力も相まってなのでしょうかね。

佐々木喜英、扮する雨生龍之介

殺人行為のマンネリ化に悩み始めた龍之介は、自宅にあった古文書で儀式的な殺人を始めると、魔術師の血があったもんでか、令呪を発動。キャスターを召喚してしまいます。
偶然の出会い。しかし、2人にとっては運命の出会い。龍之介の殺人観と、キャスターの瀆神的殺人論。互いに理解と発見を積み重ね、殺人行為に深く興じていくのです。

ヒトでなければヒトを美しく飾れない。そんな、ことを龍之介は感じているのか、芸術としての愛をもって殺人を興じます。
こういった場面を演劇などで作るとき、やはりいかに理解のできるシーンにするか、なんてことを考えますよね。やはり、この人たちにも「正しい」価値観があって、それを全身で感じているんですね。まるで、採れたての食材で、美しいフレンチ料理を作るように。
彼らの本質的な快楽というのは、きっと理解することもできないし、その術も無いはずですが、ふと感じる「美しい」や「愛おしい」という美徳感情に身を委ねる。そんな瞬間が、常軌を逸した人間ドラマも、目の当たりにできるのでは無いかと、日々感じています。


あ、ちと語りすぎました…笑
そんなこんなで、彼らもまた、正義や信念を抱いて、「何かを守る、何かを手に入れる」ために戦いに身を投じていくんですね。アーチボルト家の当主、未熟な青年、快楽を探求する異常者。彼らもまた、生まれもった宿命に、そして聖杯に、翻弄されているんですかね。

「魔術師たち」についてお話ししたので、もちろん、「英霊たち」についても、記事にしたいと思っております。
英霊たちも、もとは人間。どんなドラマがあるのでしょうか…?

開幕も近づいて、ワクワク、ドキドキ。
この世界が、舞台上に召喚されるのが、楽しみでなりませんね。皆さまも、選ばれし令呪をもって、ご来場くださいませ!


↓以下、公演情報

ミュージカル「『Fate/Zero』~The Sword of Promised Victory~」
https://www.google.com/gasearch?q=fate%20zero&source=sh/x/gs/m2/5#ebo=0

2024年1月18日~1月26日
   THEATER MIRANO-Za
2024年1月31日~2月2日
   SkyシアターMBS

原作       虚淵玄(ニトロプラス)/TYPE-MOON
脚本監修     虚淵玄(ニトロプラス)
脚本・演出・作詞 西森英行
音楽       坂部 剛
振付       広崎うらん

出演
衛宮切嗣:新木宏典
セイバー:秋野祐香
アイリスフィール・フォン・アインツベルン:山内優花
久宇舞弥:佃井皆美
遠坂時臣:遠山裕介
アーチャー:丘山晴己
言峰綺礼:北園 涼
ケイネス・エルメロイ・アーチボルト:伊藤裕一
ランサー:輝馬
雨生龍之介:佐々木喜英
キャスター:吉田メタル
間桐雁夜:健人
ウェイバー・ベルベット:平松來馬 
ライダー:岸 祐二
<アンサンブル>
西田健二 伊佐旺起 梅原ことは 
小林嵩平 佐々木楓 Chion 
関根結花 Taichi 高間淳平 田中 奏

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