行列が嫌いな人の処方箋
◆ はじめに
僕は行列が嫌いだ。どんなにうまいと評判のラーメン屋でも、行列ができていたらコンビニのカップ麺を食べるほうが好きだ。ディズニーランドに行っても、行列に並ぶのが大嫌いなので、お金を払ってさっさとアトラクションに乗るのが好きだ。
行列に我慢強く並ぶことができないというのは残念な性格だが、事業を考える上では行列を嫌いになることは非常に重要なことだ。以下では、行列の比喩を参照しながら、行列に並ばずにゴールにたどり着く方法、すなわち事業で勝つための作戦について考えてみたい。
◆ 行列を回避する作戦
■ 作戦①|横入りさせてもらう(事業提携)
第1に、最も身近な例は「横入り」だ。たとえば、誰かに先に並んでおいてもらって、そこに「私は友達ですから」という理由でスッと割り込む方法だ。特に、家族ぐらいの関係性になると「横入り」は当然認められる。
「横入り」で重要なことは、もともと並んでくれている人に「横入りしていいですよ」と認めてもらうことだ。事業で言うと、これは提携(アライアンス)するのと同じことだ。先行者優位を築いている競合他社の販路やサービスを利用させてもらう理由をつくることが重要になる。
■ 作戦②|お金で買う(M&A)
第2に、普段は思いつかないが「お金で買う」という方法もある。先に並んでいる人に「〇〇円でその列順をください」と言って、相手が「いいですよ」と言ってくれれば、お金を払う必要はあるけれども、横入りすることができる。
事業でいうと、これはM&Aになる。特定の事業をはじめるときに、一から後発企業として対応するのではスピードが遅い。そういうときは、お金でさっさと企業を買ってスタートしたほうが列順が早いのでゴールには近くなるというわけだ。
■ 作戦③|新しい列をつくる(差別化)
第3に、これも普段は絶対にやってはいけないが「新たな列をつくる」という方法もある。ゴールにたどり着くための列は「1つ」とは限らない。「こちらの列も空いてますよ」という号令に他の人もゾロゾロと流れてくると、自分は一番乗りできる可能性がある。
事業で言うと、これが「顧客創造」というものになる。顧客に独自コンセプトを提案することで、似たような提案で価格差で勝負するしかないというマーケットから飛び出して「この価値はA社しか実現できない」というポジションで戦う。いわゆる「差別化」「差異化」というのはこの路線を目指すことを意味する。
■ 作戦④|一番乗りだけ狙う(起業/新規事業)
第4に、そもそも行列が嫌いなのだから、そもそも行列なんぞというものには並ばないという方法もある。具体的には、上位5番くらいまでに滑り込める行列だけに並ぶことにして、それ以外の行列には徹底的に並ばないというスタイルもあり得る。
事業で言うと、「連続起業家」というのはそういうスタイルだ。1番になれる事業機会を狙って、スピード勝負で投資して先行者優位を築くことを狙う。ちなみに、ラーメン屋とパン屋と蕎麦屋を連続で起業してドヤ顔をする人もいるが、あれは単にたくさんの列に並ぶのが好きなお人好しの可能性が高い。
◆ 行列の避け方は好き嫌い
さて、行列を回避するための作戦を整理してみた。実はさまざまな方法があることが分かる。もっとも、どれが最も合理的かという話ではない。実は、行列の避け方には好き嫌いがある。ディズニーランドの楽しみ方にもいろいろあるのと一緒だ。
たとえば、ボクのように「カネで解決」で速攻でファストトラックに乗るのが好きな人もいる。はたまた、行列が少ないアトラクションを見つけて「次はコッチ!」とどんどん移動してたくさん乗るのが好きな人もいる。
もっといえば、行列が「好き」という人もいる。行列に辛抱強く並んでいると、いつかは順番がくる。そんなことよりも、友達と2時間でも3時間でもおしゃべりするこの時間を愉しんだらどうだという発想だ。これはこれで立派な戦術で、時間を味方につけて辛抱できない人を退出させる方法として有効だ。
さらにいえば、「合わせ技」もある。カネで解決できるアトラクションはすぐにカネで解決するものの、カネでは難しそうな行列については横入りさせてもらい、それでいて1番になれそうな行列を虎視眈々と狙う。実務では、この「合わせ技」が多くなるだろう。
◆ おわりに
繁盛しているお店やアトラクションの行列に並んでご馳走にありつくのは時間がかかる。タイムイズマネー。待っていられない。早くゴールにたどり着きたい。とにかく他人に待たされるという状態が嫌いだ。
そんなときは、そもそも行列に並ばない方法を考えるにかぎる。それも、誰もが納得する論理で、行列に並ばない方法を編み出すにかぎる。ちなみに、行列を嫌ってばかりいると、ボクのようにコンビニのカップ麺くらいしか食べるものがなくなるので、ご用心を。
最後に
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