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ご機嫌な職場には緊張感がある

◆ はじめに

心理的安全性という言葉が当たり前のように使われるようになった。僕自身、心理的安全性はチームを考える上で必要不可欠な要素だと思うし、僕が役員を務めるユースフルは日本の中でも相当「ご機嫌な職場」に分類できるのではないかと思う。

では、ユースフルが「ヌルい職場」なのかと言われれば、僕自身はそうだと思わない。メンバーも「ユースフルってヌルいよね?」と言われたら、違和感があるのではないか。この違和感に対する僕なりの解答は「よい職場には〈ご機嫌〉と〈緊張感〉がセットでついてくるものだヨ」というものだ。

◆ 不機嫌な職場

まず、前提として「不機嫌な職場」について理解を深めておこう。あらゆる上長にとって、部下に成果を出してもらう上で効率がよい方法は恐怖心を植え付けることだ。上下関係・数字ノルマ・人格攻撃という三種の神器を携えて「達成しない奴は血祭り」というムードをつくれば、部下は嫌でも行動する。

もちろん、昨今はパワハラが問題になっているので人格攻撃はできないかもしれない。しかし、上下関係と数字ノルマの2つがあれば、パワハラをしなくても十分に恐怖心を与えることはできるだろう。あとは各位の行動をモニタリングすれば、マネージャーとして最低限の仕事はできる。

しかし、恐怖心には副作用がある。「それ」しか見えなくなるのだ。たとえば、怒られすぎた部下は「自分の数字」と「上長の声」しか気にしなくなる。そうすると、周りと協力して仕事をするよりも自分の数字や上長の言うことだけやっていたほうが合理的だと考えて仕事をするようになる。

そういう人間が1人でもいると「じゃあ、私だって」と面倒見がよかったメンバーも自分の殻に閉じこもって仕事をするようになる。こうして会社は「個人事業主の集まり」のような雰囲気が出てくる。そうでなければ「ウチっておかしいよネ」と愚痴を言う飲み会で傷口を舐めあうくらいしかやることがなくなる。

そんな論理で「不機嫌な職場」はカンタンにつくることができる。

◆ ご機嫌な職場

さて、不機嫌な職場をつくる恐怖のマネジメントは「チームとして勝つ」という組織としての至上命題に対して悪影響なので採用できない。では、「ご機嫌な職場」にするべく頑張れば、万事解決だろうか。そういうわけでもない。

というのも、世の中には「仕事をしないからご機嫌です」という人が相当数いるからだ。「何もしなくてよいなんて、最高やぁ!」という意味でご機嫌な人は、営利企業にはいらない。職場に必要なのは仕事が楽しいからご機嫌な人だ。

ご機嫌な職場は、まず上長が楽しそうに日々振る舞う中で「そんなに羽を伸ばしていいのか」というメッセージを受信したメンバーが好き勝手に羽を伸ばすと自然体で出来上がっていく。そうして機嫌よく仕事ができる環境が整うと、メンバーは徐々に主体的に自らの意思で仕事をするようになる。

そうして「ご機嫌に仕事をする人」が増えてくると、ある種の緊張感が生まれ始める。それは、上長を含めた各メンバーの仕事ぶりを見たときに「ちゃんと仕事しなきゃ!」と気が引き締まるという類のものだろう。

この緊張感は、上長による恐怖とは性質が異なる。ご機嫌と恐怖は両立不能だが、ご機嫌と緊張感は両立可能だ。こうして、ご機嫌なんだけれども仕事には緊張感をもって挑むという最も成果のでるチームのムードが醸成されるのだ。

◆ おわりに

心理的安全性は成果の出るチームをつくるうえで重要だ。そして、これに逆行する「不機嫌な職場」を生み出す恐怖心をあおるマネジメントはユースフルでは採用しない。愉快に仕事をするのは当たり前のことだし、上長は「枠」をつくるために人一倍ご機嫌あるべきだ。

一方で、心理的安全性は「ヌルい職場」をつくることを意味しない。むしろ、「ご機嫌な職場」をつくることで生まれるお互いの生産的な仕事っぷりが、ちゃんと仕事をやろうという「緊張感」を育み、それがあるがゆえに全員が手を抜かずに仕事をするようになる。

こうして、ちゃんと仕事をするのに愉快な職場が生まれ、それで成果が出ると愉快になってまた仕事が楽しくなって頑張ると緊張感のレベルが上がり・・・という好循環に自ずとはいっていく「目に見えない流れ」を全員でつくるのが、昨今はやりの組織開発のミソなのだと僕は思う。


◆ 最後に

僕が働いているユースフルについては以下記事をご参照ください!社会人教育に興味のある人はぜひ!

ユースフルのYouTubeチャンネルでは無料でさまざまなITスキルが学習できますので是非ご覧ください!

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