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「痩せたいなら糖質をとれ」のカラクリ

◆ はじめに

プライベートでも仕事でも、インパクトのある施策や行動変容は往々にして「物の見方」が変わることによって引き起こされることが多い。物の見方を変えることを「パラダイムシフト」や「レジームチェンジ」というが、ここでは事例を紹介しながらビジネス領域でのレジームチェンジについて検討してみたい。

◆ 事例①|筋トレのレジームチェンジ

まずは卑近な事例から。最近、僕はパーソナルトレーニングをしているけれども、トレーナー曰く筋トレについては大きく2つの方向性がある。1つは「筋肥大レジーム」、もう1つは「減量レジーム」だ。そして、いま自分がどちらのレジームの中で行動しているのかを意識することが重要だという。

まず、筋肥大レジームでは、重量をあげて負荷を最大化する必要がある。負荷を最大化するためにはエネルギー(糖質)が必要で、このレジーム下では積極的に炭水化物を摂取する。これがないと筋肥大が起こらないことになる。その上でタンパク質を摂取して筋肉を増強する。

一方で、減量レジームでは、糖質を抑えて脂肪を落としていく。筋肥大レジームの中で基礎代謝があがっているので減量の効果が最大化される。むしろ、重要なことは肥大した筋力をいかに落とさずに脂肪を落とすかにかかっている。

◆ 事例②|経済政策のレジームチェンジ

次に、筋トレと似ている事例としてマクロ経済を検討しよう。たとえば、マクロ経済ではインフレとデフレでは政策レジームが異なる。デフレ(≒物価上昇率を超える賃金上昇率が達成されない)の場合、「金融緩和・積極財政」をセットにして経済活動を活性化させるレジームで政策運営をすべきだ。

一方で、インフレ(≒物価上昇率を超える賃金上昇率が達成されている状況)の場合、「金融引締め・緊縮財政」をセットにすることで経済活動を鎮静化させるレジームで政策運営をするのが妥当になる。

経済政策は筋トレと似ていて、まず筋肥大(高い賃金)を実現した上で減量(無駄の排除)をするという論理で動いていく。逆の論理で動くと、縮小均衡に陥ってしまう。レジームには順序があり、転換する時期を的確に見定めることが重要だ。

◆ ビジネスのレジームチェンジ

ビジネスも同じことで、創業期と成長期では戦略レジームが異なる。まず、創業期はとにかく認知と受注をいかにあげて成長スピードを速めるかが勝負になる。多少の無駄を覚悟で、顧客接点となる認知やサービスの磨きこみに全力投球する「マーケティングレジーム」で動くのが正解だ。

一方で、成長スピードが速すぎるとむしろ組織崩壊を引き起こす。そんなときが「オペレーションレジーム」へ移行するときだ。ここで必要になるのは、手堅く改善を積み重ねて無駄をそぎ落として生産性を極限まで高めていって組織を安定化させる人材育成への投資が必要になる。

私が所属するユースフルは「マーケティングレジーム」でいま動いている。個人的には、どこかに「認知の沸点」があって、急激に受注が起こる瞬間がくると思っている。そこで加熱してきたときに「オペレーションレジーム」へ移行する瞬間を間違うと組織崩壊を起こすと思っている。

組織崩壊を起こさないためには、オペレーションレジームに適した人材を「いま・ここ」で採用していつでも「引締め」ができる状態にしておかなければならない。おそらく2~3年以内にそういう状況になる。それまでにレジームチェンジができる状態を整えておかなければならない。

◆ おわりに

筋トレも、マクロ経済政策も、ビジネスも、だいたい構造は一緒だ。あえて一言でまとめれば「大きくしてから、引き締める」ということになるだろう。この「大きくする」と「引き締める」で必要な施策は異なる。レジームチェンジを宣言して転換する必要がある。

柔軟なレジームチェンジに必要な前提条件は、ビジネスの文脈では「必要な人材がいること」だ。宣言するのはカンタンだが、実際の行動は現場で起きる。その現場で「レジーム転換」をつかさどる人材こそが、企業が持続的に成長するために必ず必要になるのだろうと思う。


最後に

僕が働いているユースフルについては以下記事をご参照ください!社会人教育に興味のある人はぜひ!

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