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みんなのフィードバック

◆ はじめに

ユースフルでは「みんなのフィードバック」という取組みをしている。メンバー同士が毎日お互いに対しフィードバックを行う。おそらく、世間一般の感覚からすると「バカ」としか言いようのない施策だ。そもそも、フィードバックというのは上司が部下に対して行うものだというのが相場で、メンバー同士で行うなんてどうかしているからだ。

もっとも、個人的には「なるほど」と思うことが多い。以下では、フィードバックのルールを踏まえながら、この世にも奇妙な「みんなのフィードバック」という仕組みについて現時点で思うことを整理しておきたい。

◆ フィードバックの3つの観点

フィードバックに関しては行動経済学やコーチングの領域において様々な論考があり、概して次の3つの観点を大切にすることで大きな効果が得られますよということが手を変え品を変え書かれている。

① 目標|その人の目標に照らして現在地が伝わるようにする
② 行動|その人の努力を即時に具体的に取り上げる
③ 他者|他者と比較してどうなっているか分かるようにする

ユースフルでは「日次フィードバック」の仕組みを2023年10月から稼働させた。上司がメンバーのことを毎日振り返るという仕組みだ。

このとき、当時から「毎日やる」にこだわったのは行動(②)の観点があったからだ。そして、フィードバックを全員が見えるところでテキストでやるようにしたのは他者(③)の観点があったからだった。

なお、目標(①)の観点については、ユースフルがチーム全体で動くという感覚が強い組織体なので、財務指標等を共有する中で全員としての現在地を把握できるような仕組みを整えて補完する形をとっている。

◆ フィードバックの課題

そんなわけで、フィードバックの話に戻る。フィードバックの仕組みには難点があった。メンバーの数が増えてきたときに対応がむずかしいのだ。シンプルに、上司のラインで対応できるのはせいぜい6人~7人が限界で、それ以上のフィードバックになると行動(②)を細かく観察できない。

これに対する「ありがちな処方箋」は、組織の階層構造を細かくすることだ。そうすれば、上司からのフィードバックという構造を維持することができる。たとえば、誰かに1人だけ面倒を見てもらうことにして、その人をまた別の上司が面倒をみて・・・という階層の積み重ねだ。

しかし、これはユースフルのカルチャーと逆行する打ち手だと感じた。ユースフルの強みはがっちりした階層構造で軍隊のように攻めることではなく、フラットな関係性の中で生まれるアイデアを尊重して役割の垣根を超えて協力して実行する軽やかさのはずだからだ。

そうだとすれば、メンバー同士の「絆」が育まれるようなフィードバックの仕組みを考えるほうがユースフルという組織体にとっては合理的だ。そこで生まれたアイデアが「みんなのフィードバック」で、組織構造はフラットなままに相互にフィードバックを行うことにしてみようというのが現在地だ。

◆ みんなのフィードバックの効果

そうしてやってみて思うところは、今のところ「正解」のように思う。まず、行動(②)について言えば、上司よりもメンバーのほうがお互いの細かい努力は見えているものだし、その細かいところが開示されることでフィードバックの効果が強化されている。

さらに、フィードバックをしようと思うと、他のメンバーが何をしているのかをまず理解しなければならないという前提が入ってくる。そうすると、自ずと他者(③)の視点が入ってくるようになり、業務全体の理解も自然発生的に進むようになるし、頑張ろうという気持ちも湧くだろう。

こうして、メンバー同士の絆がより強固になり、フィードバックの効果それ自体も強化される形になる論理が「みんなのフィードバック」にはある。これは、ユースフルの組織としてのクオリティをあげつつ、フィードバックの仕組みを持続可能なものにできる可能性を秘めた施策のように感じる。

◆ おわりに

フィードバックは、フルリモート勤務という働き方で生産性を高めるために必要な打ち手だが、これを持続可能な仕組みにしていかなければならない。これにあたって、今回はじめた「みんなのフィードバック」は想像以上の成果をおさめる可能性があるというのが自分の所感だ。

もっとも、メンバーの負荷等については、単に業務量が増えました(めでたし、めでたし)ということにしかなっていない。その意味では、持続可能ではない側面も残っている。このあたりの課題をよく注視しながら、引き続きメンバー同士の絆が深まるような仕組みづくりを一緒に考えていきたい。


最後に

僕が働いているユースフルについては以下記事をご参照ください!社会人教育に興味のある人はぜひ!

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