『ヒキコモリ漂流記』[完全版]
「ルネッサーン!」
山田ルイ53世さん。
貴族芸人のあの恰幅のいい、景気のいい感じのあの方が、中学から20歳まで引きこもっていた…。
なんで?どうして?
ほんでなんで芸人?
色々な疑問がわいてくるけど、一つ一つ話を読むと、なるほどなぁ…となる。
小学校時代は、勉強も運動もできる人気者。
自ら志願して、近所の塾に通いつつ、ほぼ独学で名門中学へ進む。
だけど、大を漏らす…ということをきっかけに、引きこもり生活へ突入…。
そういえば、星野源さんも、小学校のマラソンの授業だかで、大を漏らしてしまい、1年間くらい不登校だったはずだ。
星野源さんの場合は、大そのもののあだ名をつけられる、という仕打ちが原因だったけど…。
山田ルイ53世さんの場合は、周りの反応は冷たくなかった。しかも、すぐに引きこもったわけではなく、翌日からも普通に学校へ行く。だけど、その後訪れた夏休みの宿題に手を付けられず、新学期から不登校となる…。
そんな始まりだった。
引きこもっていた6年間。
山田さんにとっては「完全に無駄」と言い切る。
そして
「それを糧に成長」
と、なにがなんでも意味を与えようとする姿勢を否定する。
「無駄を許せない空気感」こそが、人々を追い詰めているのでは、と問う。
殆どの人間は、ナンバーワンでも、オンリーワンでもない。
本当は、何も取柄が無い人間だっている。
無駄や失敗に塗れた日々を過ごす人間も少なくない。
そんな人間が、ただ生きていても、責められることがない社会…それこそが正常だと思うのだ。
ぐさぐさーっと刺さった。
「無駄」こわい。
「糧」にしたい。
無意識のうちに、そうやって思ってきた。
今日より明日は、成長していたい。
そんなふうにも思ってきた。
でも、私はきっと、そういう姿勢に、息苦しさも、実は感じてたのではないか。
私は、何者でもない。
人生は、無駄もあるし、意味のないこともたくさんあるのが普通だ。
たまに楽しいことがあったら、それで十分。
そんなふうに思うと、ずいぶんラクになった。
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