仮想の往復書簡 第5便
週末の体育館
こんにちは。
毎回、脈絡のないことをお便りしていますが、今回も唐突に、体育館という場所について書きたいと思います。
私は大人になってから、とある運動系の習い事を始めました。
始めて数年が経ちますが、あんまり上達しなくて詳細を語るのは恥ずかしいので、運動系、とだけ書いておきます。
毎週末、公営の体育館を借りて行う練習に参加したり、しなかったりと、マイペースに続けています。
学生の頃、所属していた部活は文化部か帰宅部。
体育の授業はもちろん苦手で、一つのボールを追ってみんなで右往左往するサッカーやバスケが特に苦手でした。
そんな、スポーツとは無縁の人生を送ってきたので、大人になってから運動を始め、毎週のように体育館という場所に通うことになるとは思いも寄りませんでした。
その習い事の練習でいつも使う体育館は、あらゆる種目に対応した複合施設で、巨大なバスケットコートやプール、武道場、バレエ用のバーがあるダンスルームなど、人々のこんな用途で使いたいな、という声をすべて叶えたような造りです。
施設のそこここで、卓球のピンポン球を打ち合う軽やかなリズムや、バスケシューズが床に擦れるキュキュッという子気味良い音、威勢よく仲間と声を掛け合う音が反響しています。
通路や更衣室ですれ違う人たちも、大人のサークル的な団体さんが多く、
揃いのユニフォームや、道着や、ダンスウェアなど思い思いのいでたちで、
その顔はみんなどこか晴れやかで、足取りが颯爽としています。
きっと普段は、会社でエライ役職だったり、家では誰かのお母さんだったり、社会人になり立てで不慣れな仕事に四苦八苦している若者だったりするのでしょう。
休日に体育館に集まる人たちは、通勤電車や、混雑したショッピングモールなんかでその場に居合わせる人たちとは様相が違っていて、何となく一人一人にちゃんと顔があるというか。
社会的役割のような記号が貼り付いていないというか、
ひとりひとりの顔や声の違いがちゃんとわかるような気がするのです。
そんな体育館で、今週末もまた私は運動神経の鈍さを発揮しながら汗を流していることでしょう。
とりとめなくなってしまいましたが、
今日もこの辺で。
またお便り致します。
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