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街で外国の人とすれちがう

《 仮想の往復書簡とは 》
誰の目に留まるともわからないけれど、
見知らぬ誰かに宛てたお便りを書くように、
日々思いついたことを綴っています。
これを読んでくれた誰かが、何かを思ったり考えたりしてくれれば、それが私にとってのお返事です。

仮想の往復書簡 第12便


こんにちは。
秋雨が続いていますね。最近の季節の変わり目は猛スピードで過ぎていってしまうので、この天候も大事に味わっておくか、という気になります。

東京の街を歩いていると外国の方とよくすれ違います。家族で観光に来ているらしき方もいれば、ママチャリの後ろにお子さんを乗せて颯爽と走る、日本在住とわかる方もいます。
おしゃべりしながら歩いている方たちだと、耳慣れない言葉が聞こえてきたりして、これはドイツ語かな、中国語かな、と聞き耳を立ててしまいます。

外国の人、とお呼びするのが適切なのかわからないですが、そういう方々とすれ違うと、私は時々、その人の子ども時代を想像します。

今はこうしてなんらかの理由で日本に来ているけれど、生まれた場所はきっと遠い国で、私が名前も知らない街で育ち、全然違う言葉を話して成長してこられたんだろうと。

日本人であれば、幼少期にやってきたことはある程度は似たり寄ったりなので想像がつきます。
幼稚園で歌った歌や、読み聞かせの本のストーリー、小学校の校庭でやるドッジボール、給食で大人気の揚げパン。
今すれ違った、何語かよくわからない言葉を話していたあの人にとっての、校庭のドッジボールに相当する遊びは何だったのだろう、と考えます。

私はかたことの英語くらいしか喋れませんし、話しかける勇気もないので空想で終わってしまいますが、もしもそんな質問を投げかけられたら、きっと予想もしなかった答えが返ってくるんだろうなと思います。

ともすれば、自分に中心化された世界に拘泥しがちな日々にあって、
ふとすれ違った外国の方の気配は、何か広がりを感じる瞬間をもたらしてくれるのでした。

それではまた、お便りします。



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